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BとTでBéatrice、いや違う…

「その名前はBからはじまってTを含んでいるはず…Béatrice…いや、違う…Bettina、かな。なんか違う…なんだっけ…」

ここ1週間ほど、私はどういうわけかこの問答を頭の中で何十回と繰り返していた。何度繰り返しても、正解を導き出すまでに必ず「Béatrice」と「Bettina」を通過する必要があり、最終的に2〜3分の時間を要する。この記事を書いている今でも、実は「あれ、あの名前は、Béatrice、じゃなくて…」とやっている。


Bénédicte、だ。そう、Bénédicte。


Bénédicteはこの1週間かなりの頻度で会っていた仕事関係の人だ。それでもその名前を呼ぼうとするときには必ずBéatriceとBettinaが私の邪魔をするので、ついぞ彼女に向かってその名を発することはなかった。

Béatriceという名前の人に会ったことは記憶の限りはない。多分あまり今っぽくない名前なのだろう。Bettinaはだいぶ前に仕事で会った人にいたが、それきりそのBettinaにはお目にかかっていないし、違うBettinaとの出会いもなかった。

いずれにしても、なぜBéatriceの名前がすぐに出てこないのかが自分自身でもよくわからずにいる。ありふれているわけでもない一方で、特に変わった名前でもない。出てこない理由は本来であればないはず。

…違う、Bénédicteだ。


ベイカーベイカーパラドクス(ある人物を思い浮かべる際に、容姿や職業等の情報は思い出せるのに、名前だけが出てこないことを指す心理現象)ともまた少し違うような気もする。Bénédicteに関しては、何度その名前を思い出そうとしてもすぐには出てこないだけでなく、「あ、そうだ、Bénédicteだ」と思い出した15秒後であっても、私はまた「あれ、Béatriceじゃなくて…」と始めなければならないのだ。もし私がBénédicteという名前の女性と付き合ったら、何度も間違えて「Béatrice」と呼んでしまって、その度にビンタをもらうことになるだろう。

かわいそうな私…


特定のものをどう頑張っても覚えられないという経験は、これがはじめてではない。他には例えば、幼少期からテレビ局とチャンネルを組み合わせで覚えることができなかった。それもあってか、アナウンサーの顔と名前が分かったとしても、その人がどこのテレビ局所属なのかも併せてちんぷんかんぷんなのだ。あとは「お宮参り」は出産から何日後に行くのが正解なのかも、もう何回も聞いているはずなのにいまだに覚えられない。


こういったことは、ある種の脳の欠陥なのだろうか。脳の中にあるはずの「Bénédicte」の記憶を司る部分が、私には欠落してしまっている(そしてそれを「Béatrice」の記憶を司る部分が補完している…?)、とか、テレビ局とチャンネルを結びつける“紐”がどこかの誰かによって切られてしまっている、とか、そういうことなのだろうか。

あるいは私は、Bénédicteやらテレビ局やらに全くの興味関心がないのだろうか。名前こそ出てこないでいるが、Bénédicteとはあれこれ話して、彼女のおおまかなキャリアは頭の中に入っているし、いろいろ手助けしてもらったから、興味がない、ということはなさそうだが、彼女の名前がBénédicte(実はこれを書いている今も彼女の名前を思い出せないので、「Bénédicte」という文字列を予めコピーしておいて、スタンプのように押している。頭の中ではBéatriceの名前しか出てこず、その度にBénédicteからビンタをくらっている)であるが故に、興味の対象外となってしまっているのだろうか。

とにかく、私自身も不思議でならない。


私自身もよくわからないことをこれ以上書いても埒があかないのでそろそろ筆を置こうと思うが、確かに私には、誰しもが出来ることや知っていることの中で、どうしてもできないことや何度聞いても覚えられないものがあることを、このBénédicteの一件で思い出すことができた。それによって時として、私は生きづらさを感じるが、せいぜいBénédicteからビンタをもらうくらいだから、あまり深く考えるのはよそう、と思った次第。

代わりにBéatriceが助けてくれるし。


今日私は、何を書いているのだろう…?わけのわからない内容で、なんだか申し訳ない…

全部Béatriceのせいだ!


…違う、Bénédicte…ごめん、そんなつもりj

ばちーん。


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