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私は、修行僧ではありません。

仙台の「KOKO HOTEL 仙台駅前 West」に1週間ほど滞在しているが、朝食が美味しくて助けられている。おかずの種類も多くヘルシーな朝ごはんを楽しめる。毎回シェフのスペシャル料理があり、それもまた嬉しい。今朝はうなぎの入った炊き込みご飯がありテンションが大変上がった。もちろんとっても美味しかった。

身支度を整えて荷物を持って1階の会場で朝食をとってから仕事に向かうのがルーティンになった。8時半過ぎの朝食会場は半分ちょっとの席が埋まっている。日本人が多いが、外国人もちらほら。仕事できている人は少ない印象だ。皆仙台に何をしにきているのだろう。


とある朝、例によって朝食会場でいそいそと料理をよそい、席に戻ろうとした時、若い女性ふたりの席の足下に、カードタイプのルームキーが落ちているのを見つけた。

「落ちてますよ」

と声をかけようとした時、私の中の私がそれを制止した。

その日私のファッションのテーマは、「80年代香港マフィア」だった。80年代の香港のマフィアがどんな格好をしていたのかはまったくもって知らないが、鏡で自分の姿を見たときに最初に頭に浮かんだフレーズがそれだったのだ。

80年代香港マフィアスタイル、しかも髭。もし急に声をかけたらお姉さんたちを驚かせてしまうのではないか…私の中の私は、そう思ったようだ。

長いこと逡巡したが、結局私はルームキーのことを告げずに朝食会場を去った。ふたりの女性のその後は知らない。路頭に迷っていないことを祈る。


こんなことを思ったのにはわけがある。

仙台藤崎で連日店頭に立っている中で、

「çanomaの人、修行僧みたいで声かけられなかった」

という人がいたという話を人づてに耳にしたのだ。

確かに、以前に比べて声をかけたお客さんが、文字通り“逃げるように”立ち去ってしまうことが増えたように感じていた。その時は接客を受けたくないお客さんが“たまたま”多かっただけ、と自分を納得させていたが、先の言葉により、その原因が私の見た目であることが明確になった。

それにしても、修行僧だなんて…こんなに太っている修行僧はきっといないのに…


私は服にしても眼鏡にしても、プロダクトとして面白いと感じるものをまず購入するようにしている。そういったものを集めた上で、コーディネートはその日の気分に合わせて考える。ので、コーディネートありきのスタイルとはきっとちょっと違う。

トレンドをとらえたスタイルも、奇抜なファッションも、正直あまり興味がない。私は私が好きなもので囲まれていたい、と願うだけだ。

そんなこんなで、プロダクトとしてキャラクターの立ったものが組み合わされた私のコーディネートは、もしかしたら不思議なものになっているかもしれない。そこにさらに不思議な髭。修行僧の出来上がり。

いや、それにしても修行僧はこんなに太っていないはず…


どうやら私は、店頭において見た目で損をしているようだ。中身はふわもこなのだが、それが外見から伝わってこないらしい。きっと私の外側だけを見て、触れてはいけないタイプだと思って立ち去った人が数多いるのだろう。

「本を表紙で判断するな」というように、香水もパッケージやボトルで評価してはならない。そしてもちろん、人も見た目で判断するべきではない。私のように、少し話せば中身はふわもこであることが伝わってくるはずの人が、その外見によって敬遠されてしまうのは、なんとも悲しい話である。


こわくないよ…こっちにおいで…ふわもこ、だよ…


明日は仙台藤崎でのポップアップ「KAORI LOVER」最終日。もしこのnoteを見て、かつ私のことを怖い人だと思っていた方がいたら、ぜひその考えは今すぐにかなぐり捨ててほしい。

私は、ふわもこです。ふわもこなので、気軽に話しかけていただきたい。怖くありません。本当です。

そして、私は修行僧ではありません。修行僧は、もっと痩せています。


ぷんすかぷんすか。


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