ナポリに行っては
2泊3日のナポリ旅行はもうすぐ終わりを告げようとしている。
とはいえ、「家に帰るまでが遠足」を標榜している私としては、パリに帰る飛行機に乗り込んですらない今はまだ遠足中である。
たったの3日、正味2日間しかいなかったこの街を去るのが寂しくてならない。
あちこち都市を巡っていると、相性のいい都市、悪い都市、というのがあることが自ずとわかってくる。今まで相性がいいと感じたヨーロッパの都市は、パリ、リスボン、ウィーンなど。中でもリスボンは特によかったが、今回のナポリはそれを上回ったように感じた。
ナポリに来る前日、あるフランス人から「ナポリは独特の魅力があるの。それは多分、金持ちも貧乏人も入り混ざって生活しているところからくるんだと思う」という話を聞いていた。今となっては、彼女の言わんとしていることが少しわかるような気がする。路地裏に入った時に感じる、あのおとぎ話と懐かしさが混ざり合ったような不思議な空気は、きっと他の街だと感じられないのではないか。
あるいは、もし近しいものがあるとすれば、それは東南アジアの雰囲気なのかもしれない。いずれにしても、その空気は私を虜にした。きっと近いうちにまた戻ってくるだろう。
最初の2日間は友人ふたりと一緒だった。ピザを食べ散歩をし、カプリ島まで足を伸ばした。
最終日も一緒に過ごす予定が、イタリア全土で行われる鉄道のストライキの影響で、彼女たちは私よりもひと足先に午前中の飛行機でヴェネチアに向かわなくてはならなくなった。私はひとり、ナポリに残された。まぁそれはそれで悪くないだろう。
だいたいにおいて、ヨーロッパの都市で日曜を過ごすのであれば、美術館や博物館を巡るのが“セオリー”だ。お店はたいてい閉まっているし、開いているのは観光客狙いのマスっぽいお店がほとんど。ただ美術館や博物館は必ず日曜も開いているので、日曜に気になっている美術館をはしごするのが効率的な過ごし方だ。
結局ひとりで過ごすことになった日曜日、私はその日にまわるいくつかの美術館、博物館をチェックした上で、まずは丘の上にある博物館を目指すことにした。
それはナポリの市街地からも目にすることができる「サンテルモ城」の近くにあった。メトロを降りてしばらく歩くと、博物館の手前に城の入り口があった。せっかくなので入ろうと思いチケットを買おうとすると、入場無料とのことだった。
元々は要塞だったその城からは、ナポリの街が一望できた。
それは今まで私が見たどんな街の景色よりも私を惹きつけた。私はこう思った。
「この景色の中にもっといたい」
普段はそんなことは思うことはほぼない。なぜならば眼下に広がる景色とその景色を構成する一本一本の通りは全くの別物であることを、私はよく知っているからだ。景色が綺麗であることに、各通りの美しさはあまり貢献しないのだ。
ただ、今日はそんなことは百も承知で、それでもあの景色の中に溶け込みたい、と思った。それほど私には魅力的にうつったようだ。
私はその日の美術館、博物館の予定を全てキャンセルし、ナポリの中をひたすら歩くことにした。観光地、裏路地、大通り、高級ショッピング街、などなど、ありとあらゆる場所を巡った。
ランチは「La Locanda Gesù Vecchio」というお店で“Ziti alla genovese”にした。玉ねぎとチーズに、牛肉の旨みがギュッと詰まったソースのパスタ。ボリュームもしっかりあったが美味しくてペロリ。デザートまでしっかりいただいた。
その後は海沿いを歩いたり、3つほどのカフェを渡り歩いてエスプレッソを飲み比べてみたり、写真を撮ったりしながら歩き続けた。
街歩きは夕方4時前まで続いた。ここで時間切れ。私はホテルに戻り空港へと向かった。そして今、この記事を書きながら飛行機を待っている。
ところで、だいたいnoteの記事のタイトルは記事をアップする直前に考えてつけている。そもそも私はタイトルで“煽る”のがあまり好きではないので、いつもわりと適当にタイトルを設定している。
ただ今日は、このタイトルをどうしてもつけたかった。記事を書き始める前にこのタイトルがふと頭の中に浮かんだのだ。
その心は、私の今日の格好である。下はコットンのショートパンツ、上は青いストライプのシャツを素肌の上に直接着ている。シャツのボタンも上から3つ目まで開けている。
郷に入っては郷に従え。それはナポリに行っても同じである。
日本ではなかなかできない格好を、ナポリの皆様にならってやってみたが、これがなかなか快適だった。やはりその地にはその地に適した格好があるのだろう。
さて、どうやらフライトは大幅に遅れる見込みのようだ。そんなことだろうと思っていた。
おかげで遠足の終わりも後ろになった。後少しの遠足、何をして楽しもうかな…
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