タンタンの筆箱
松浦弥太郎さんの『日々の100』という本を勧められて読んでいる。
『暮しの手帖』の編集長でもある著者が愛用するもの100個が、その出会いのストーリーと共に綴られている。
いつか私も、私が愛した100のものについて書いてみたい…この本を読んでると、そんな思いに駆られる。
松浦さんは『日々の100』の冒頭部分で下記のように書いている。
100人の人とつきあうことはむつかしいが、100のモノなら、なんとか揃うだろうと思ったのは浅はかだった。モノであろうと100となると尋常ではない。
なるほど、そういうものか。軽い気持ちで「100のモノについて書きたい」などと口にすると、あとで痛い目にあうようだ。
それでは、1つならどうだろうか。私は何を選ぶだろう。
「タンタンの筆箱」だろうか。
小学生の頃、ベルギーの漫画家エルジェの『タンタンの冒険』シリーズが大好きだった。学校の図書館にあったものを、性懲りも無く何度も繰り返し読んでいた。
私がタンタンに熱を上げていたちょうどその頃、なんと家の近くのショッピングセンターに、タンタンのグッズばかりを取り扱った「タンタンストア」なるものができるというニュースが入ってきた。
都心ならまだしも、八王子にそんなピンポイントなお店を作ってやっていけるのだろうか…という心配はあったが(結局最後までお客さんで賑わっている姿を見せることなく閉店したように記憶している)、私としてはこんなに嬉しいことはなかった。もちろん、オープン初日に母親とお店に訪れた。
がっかりしてしまった。どの商品も、当時の私たちには思いの外高かったのだ。
ただ、キャラクターの使用料で法外な値段になっているというよりかは、単純に商品のクオリティゆえの値段となっている印象だった。
結局、その日は何も買わずにお店を後にした。
その後も、ショッピングセンターに行くたびに、タンタンストアを覗きこそしたが、特に何かを買った記憶はない。
そんな中、小学校4年生か5年生の誕生日に、母親からタンタンのペンケースをもらった。
濃紺のしっかりとした生地に、新聞を読んでいるタンタンのワッペンが付けられ、“TINTIN”の文字が刺繍されたものだった。
嬉しかった。とてもいいものをもらった気分になれた。
ところで、タンタンはフランス語で“TINTIN”と綴る。これでタンタンと発音するのだ。
読者の皆様の想像に難くないところではあると思うが、このペンケースを小学校で使用していると、周りからはローマ字読みでバカにされることもしばしばあった。
そんな時も、いいものを持っている、という自負があるからだろうか、ムキになることもなく、「なんて無教養な人たちなのだろうか…」と憐れむ余裕すらあったのだ。
タンタンは偉大だ。
このペンケースとは、小学時代後半から中高時代、そして大学時代前半と一緒に過ごすこととなる。中学受験の時も一緒だったし、チャックの部分が壊れてきちんと閉まらなくなっても使い続けた。
別れは突然訪れた。大学3年の時、大きな教室にこのペンケースを忘れてしまったのだ。気がついて取りに行っても見つからなかった上に、落とし物で届けられることもついぞなかった。
10年以上連れ添った相手との別れは、あっけないものだった。
それからというもの、今日まで私は、ペンケース難民である。色々試しては見るものの、すぐなくしてしまったり、使わなくなってしまったり。今ではバッグにボールペン一本突っ込んでミーティングに出かけている。
ペンケースがあれば便利なのに…とは思う。
やはり、私のペンケースはタンタンであるべきなのだろうか。今度原宿のタンタンストアにでも行ってみようかな…
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