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お香メーカー「薫寿堂」を訪問してきたよ

淡路島の南の端っこで、今日もnoteを書くべく筆をとった。あと10分ほどで明日になってしまう。なんだか今日は一日中バタバタしてしまった。明日も早いが、何時にベッドに潜り込むことができるだろう。


今朝は8時に車を借りて神戸を出発、調香師Jean-Michel Duriezとともに淡路島にあるお香メーカー「薫寿堂」を目指した。

高速道路に乗ってすぐ、ひどい渋滞に巻き込まれた。結構な距離をノロノロ進んだ後に目に入ってきたのは、2車線のうちの左側のど真ん中に、敷布団のようなものが無造作に置かれていたのだ。

どこからきたのだろう。布団が吹っ飛んだのだろうか。


そんな渋滞と私の迷子が相まって、待ち合わせから30分も遅れてしまった。それでも薫寿堂の方々は私たちをあたたかく迎え入れてくれた。

薫寿堂は淡路島で130年続く老舗お香メーカーだ。çanomaのお香もこちらで製造してもらっている。3年前、お香の製造を依頼する前に一度訪問したことがあるのだが、その際はお香の製造現場を見学することができなかった。今回は3年前のリベンジも兼ねての訪問だった。


ところで、お香はどのように作られるか、みなさんはご存知だろうか?

タブノキの主に樹皮を粉末状にした「タブ粉」と呼ばれるものがベースとなる。それを釜に入れ、お湯とともに練り混ぜながら、香料や香木などの香りのある原材料を加えていく。最初は粉だったタブ粉が練っていくとだんだんペースト状になっていく。数十分練って、しっかりペースト状になったら、それを別の機械に移し、スパゲッティを作るように型で押し出して紐状にする。紐状になったものを段ボールの上に取り、切って長さを揃え、乾燥させて固まったら完成である。

タブ粉とお湯が混ざることで糊の役割を果たすので、追加の接着剤は必要ない。シンプルな作りだが、そこには歴史とノウハウがギュッと凝縮されている。


お香に使われる香りの材料をいくつも試させてもらった後、ちょっとした商談をした。相談をしていく中で、改めて薫寿堂でできることの幅の広さを思い知った。


Jean-Michelが参考資料に幾つかのお香を購入する際、レジにいた女性が私に、

「çanomaのお香は詰めている時にいつもとてもいい匂いなんです」

といった。今日の見学で、薫寿堂で作られるお香はすべて手作業で箱に入れられることを知ったが、その女性も普段はお香の箱詰めをしているそうだ。

仕事の中で他ブランドの様々な香りに触れているメーカーさんに香りを評価してもらえるのは、ポップアップ等で目の前にいるお客さんに気に入ってもらうのとはまた違った嬉しさがある。きっとそれは、「一緒にいいものを作っている感」からくるのだろう。çanomaのお香にしたって、薫寿堂の協力があってはじめて成立するのだから。


「工場に来てくださるブランドさんはかなり少ないですからね、渡辺さんのようにお越しいただけるのはとても嬉しいです」

ランチの際、薫寿堂の方にそう告げられた。私としては、自分の製品がどのようなプロセスによって作り上げられるか、そしてどのような人が関わってくれているのか、といったことを知るのは重要なことだと考えているので、商品を作る前に、もちろん可能である場合に限られるが、工場見学をするようにしている。それによって、製品製造でどういったことが可能でどこに制約条件があるかを認識することができるし、誰に何をお願いすることができるかも把握できる。実際に、çanomaのお香「1-26 鈴虫」は、3年前に工場見学をした際に会った薫寿堂の工場長の力を借りて制作したものだが、直接会ったことでその方の香りに対する知的好奇心の強さを目の当たりにしたからこそ、全幅の信頼を寄せて試作をお願いすることができた。薫寿堂でなければ、制作することのできない商品だったのだ。

だから工場見学をせずに製造を依頼するブランドが多いということに少し驚きを覚えた。もちろんわざわざ赴く時間と労力はかかるが、少なくとも自身が販売するものがどういったところで製造されているかに興味すら持たないのだろうか。なんだか不思議な気もするが、皆きっと忙しいのだろう。


今日の訪問で、改めて薫寿堂のお香メーカーとしての自負と愛を感じることができた。今回の出張の一番の目的が勲樹堂の訪問だったが、行ってよかったと心から思うことができた。


ところで、来年の上旬あたりに、出したいお香が2つ、あるんだよなぁ…もう試作はしてもらったけど、すっごくいいんだよなぁ…

早く出したいなぁ…


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