ホーキーポーキーのある人生、ない人生
あるものが「ある人生」と「ない人生」では、大きな差が出ることがある。香水のある人生とない人生、読書のある人生とない人生、映画のある人生とない人生、推しのある人生とない人生…
どちらの方が幸せ、という訳ではないだろう。出会わなかった方がよかった、というものだってきっとあるはずだ。私にしたって、もし香水(とか眼鏡とか読書とか陸上とかロードバイクとか…)との出会いがなかったら、もっと“平凡な人生”を歩んでいて、それはそれで今よりも幸せだったかもしれない。
ただ残念なことに、我々はそれらの「出会うべくして出会う」ものとの出会いを回避することができない。出会ってしまうものとはどう足掻いても出会ってしまう。それらは神様やら運命やらによって“予め”決められたことなのだ。
今日は11時からの恵比寿でのミーティング(ウェスティンホテルのカフェでの予定だったが結婚式?の参列者で埋め尽くされていて結局ガーデンプレイスのスターバックスに入った)、13時ごろの折角堂東京へのお届け物(納品しに行ったのだが、危うく私が眼鏡を買うところだった…「ミイラ取りがミイラになる」とはまさにこのこと)、15時半の表参道での「マッサードットジェイピー」でのマッサージ(久しぶりに行ったが、やっぱりここが一番いい。最近ちょっと人気が出てきているように感じるのも嬉しい)、の全てを自転車で回った。ざっくり30kmくらい走っただろうか。
表参道でいくつかお店を見たのち、18時過ぎに帰宅した。一日中都内を駆けずり回ったので、夕飯は手抜きで豚肉の生姜焼きと茄子の味噌汁で簡単に済ませようと思い、とりあえずスーパーへと向かった。
カゴを片手に柿を取ろうとしたその時、あるものが目に入った。
松茸だった。カナダ産のもので、ふたつで1,500円。
松茸の炊き込みご飯、なんていいかも。そう思いカゴの中に放り込んだ。
玉ねぎ、茄子、豚肉、豆腐、油揚げ、と買い進み、恒例のアイスコーナーに到達した。
ここ最近は森永製菓の「パルム」がお気に入り。寒い日に食べる上品なアイスって、いいよね。私大好き。ただパルムはすでに我が家の冷凍庫にストックがあるので、今日はもし何か私の眼鏡に適うものがあれば…と思い、物色していたのだ。
そして、私は見つけてしまったのだ。
ホーキーポーキーを。
それがいつ頃だったか、記憶が定かでない。多分高校生か大学生くらいのことだったと思う。もしかしたらもっと前だったかもしれない。
母がニヤニヤしながら、とあるアイスを出してきた。
「とりあえず、食べてみて」
一口、ぱくり。
衝撃だった。
キャラメルアイスの中にさらにカリカリのキャラメルの粒が入っている。アイスの甘く優しい味わいと柔らかいテクスチャに、唐突に訪れるキャラメルの粒の苦味とカリッとした食感が不連続な驚きとなる。とにかく美味しい。美味しいのだ。
それから我が家ではことあるごとにホーキーポーキーが登場した。内容量が多いスクープで掬うタイプのアイスだが、その美味しさゆえに気づいた時には空になっていた。キャラメルアイスとキャラメルの粒という、カロリーの掛け算のようなそれは、時として“自重”の対象となったが、またしてもその美味しさゆえにその自重期間は長くは続かなかった。
ホーキーポーキーの最大の問題点は、取扱店が恐ろしく少ない、ということ。もしかしたらçanomaの方が今となっては取扱店舗数だけでみると多いかもしれない(それはないか…)。それゆえに引越しに伴い、私たちはホーキーポーキーともお別れを余儀なくされた。
そんなホーキーポーキーが、近所のスーパーにちんまりといらっしゃったのだ。この辺りに引っ越してきてすでに3年が経過していたが、私の中でホーキーポーキーの存在がすっぽり抜け落ちていたのか、それともたまたま今のタイミングで取り扱いはじめたのかはわからないが、それは数年ぶり、もしかしたら数十年ぶりの邂逅となった。
松茸の炊き込みご飯も、豚肉の生姜焼きも、茄子の味噌汁も、とても美味しくできた。ただ、それらを咀嚼しながらも、私の心は別のところ、そう、冷凍庫の中にあった。
食後に、とりあえずホーキーポーキーをひとすくい。そう、これこれ。私の心の隙間にぴたっとはまる、この食感、この味。
さらに私は、とんでもない悪巧みを思いついた。
これにエスプレッソを注いで、ホーキーポーキーアフォガードにしたら…
先日ナポリで購入したDOLCE&GABBANAコラボのBialettiのマキネッタ(直火タイプの簡易エスプレッソマシン)を取り出し、ポコポコとエスプレッソを抽出する。
かける。
食べる。
うまい。
悪魔的な美味しさだ。もう後戻りはできない。
私は、勝利した。いや、もしかしたら敗北したのか…?もはやどちらでも構わない。私は、知ってしまった。ホーキーポーキーアフォガードという、心の故郷を…
さて、あなたはホーキーポーキーが「ある人生」を歩んでいますか。それとも「ない人生」ですか。
私はあなたがそのどちらを歩むかについて、何の責任も負っていません。全てはあなた次第です。
ただ、ホーキーポーキーのない人生を歩んでいるあなたが、もし幸運にも、あるいは不幸にも、この記事に辿り着いたのであれば…とりあえず、近所のスーパーのアイスコーナーで、「Hokey-Pokey」の文字列を探してみる、というのはどうだろう。もし見つからなければそれで胸を撫で下ろせばいいし、仮に見つかってしまったら、またその時に次の選択については考えればよいのだ。
あるいは、あなたは既に運命付けられているのかもしれない。ホーキーポーキーが、ある、またはない人生を歩むことを、ね…
(トッテモオイシイカラ、ミツケタラタベテネー‼︎)
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