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今日も今日とて自己紹介 〜フランスに来てから香水ブランドを立ち上げるまで Part 6. 最終回 ブランド準備編〜

じー………
※本文とはなんの関係もありません。

前回の記事から今日に至るまでの流れを自己紹介の最後にまとめたいと思う。

昨年2月の上旬、香水ブランドを設立する決意をし、ジャンミッシェルに急いで最初の試作品を作ってもらった。それを持って2月下旬にまた日本に一時帰国、当初のプロジェクトにお金を出してくれることを約束してくれていた投資家の方々に改めて会いに行き、プロジェクトの中止を謝罪、その上で(大変厚かましいのだが)新たに私独りで香水のプロジェクトを立ち上げること説明した。そしたらなんと、全ての方が横スライドで私のプロジェクトにお金を出してくれることを約束してくれたのだ。

その後フランスに戻り、試作品の制作をジャンミッシェルと本格的に始めることとなる。香水のクリエーションがどのように進められるか、ということはどこかでまた別途書こうと思うが、簡単に説明すると、私が欲しい香りのイメージをブリーフィングし、ジャンミッシェルが試作品を作る。それに対して私が修正を依頼、時にジャンミッシェルの意見を取り入れながら、最終的に納得ができるところまで修正を繰り返す。今回はブランドローンチ段階で、4種類の香りをリリースする予定だが、一番短時間で完成したもので6ヶ月程度、反対に長い時間がかかったものは1年をクリエーションに要した。一般的なクリエーションと比べて、6ヶ月が短いのか、1年が長いのかはよくわからないが、香水のクリエーションは、1週間でできるものでもなければ、5年かかるものでもない、という程度に理解していただければと思う。

クリエーションをしながら、ボトルやスプレー、パッケージの業者、香料メーカーから送られてくる原液を希釈しボトル詰めとパッケージングをするラボ、日本に輸出した際に諸々の手続きをとってくれる会社等々を探した。特に苦労はなかった。ジャンミッシェルとギョームのサポートがあったし、これらのうちのいくつかの業者とは、インターン中に私が直接やりとりをしていた。知らず知らずのうちに、私はインターンで香水製造の実務全てと関わっていた。

香水のクリエーションがゆっくりとしか進まないため、時間はたっぷりあった。そこで、その時間を考えることに使った。私の関心事項は、「香水とはどうあるべきか」と「ブランドとはどうあるべきか」ということ。
これらのことに対する明確な回答はまだ私の中ではないが、なんとなくぼんやりとしたものを掴みつつある。これに関してもまた別の機会に書きたいと思う。

会社の登記をしたのが昨年の10月、クリエーションが終わったのが今年の2月上旬。完成した香水を持って2月下旬から3月上旬までに日本に帰り、営業をしたりプレローンチイベントを開催したりした。その頃にはコロナの影響で自粛ムードが出始めていたが、まだ今ほどの状況ではなかった。
反応は上々だった。すでに販売先として決定したところもいくつかある。イベントでもポジティブなフィードバックを数多くいただいた。

心地よい疲労感と満足感とともにフランスに帰国した1週間後から、フランスはロックダウンに入った。ロックダウンが解除された5月11日までの2ヶ月間は、出来る事をしつつ、出来ない事は諦めつつ、プロジェクトを前に進めていた。

ロックダウンが解除された今週、少しずつではあるが出来なかったことが出来るようになってきている。この調子だとなんとか今年の後半に、ブランドをローンチするところまでこぎつけそうだ。
その意味では、諸々遅れはあるものの、幸運なことに実務面でのコロナの影響は比較的少なかったと考えていいのかもしれない。日本に帰ったタイミングも絶妙だった。早かったら香水のクリエーションが終わっていなかったし、遅かったらコロナの影響で全く動けなかっただろう。

ただ、一つ困ったことがある。フランスの滞在許可証を申請中にロックダウンに入ってしまったため、まだ滞在許可証を手に出来ていないのだ。発行手続きが完全に止まっている状況ため、いつ正式な滞在許可証が手に入るのかが不明である。今は仮の滞在許可証で合法的に滞在できているが、この仮の滞在許可証では、給料を受け取ることを認めていない。貯金はほぼない。さてどうしたものか…
と、客観的に見れば危機的な状況なのだが、パリ生活5年目、様々な危機を掻い潜ってきた身からすると、「まぁなんとかなるだろう」と思えるようになってしまうから不思議である。そして実際に、こういうことはなんとかなるものなのである。

さて、これで私の自己紹介は一旦終わりにしようと思う。『星の王子さま的自己紹介』から始まり、主にフランスに来てから今日までの4年半のことを綴った。私がどういう人であるのか、どういう道を辿ってここまで来たか、少しはご理解いただけただろうか?

次回以降は、香水に関することを中心にしつつ、関係ないことも適宜はさみつつ、ボチボチ記事を書いていこうと思う。noteが主催しているコンテストにも応募してみたい。また、香水関連のことで、もし書いて欲しい事があれば、コメント欄にて教えていただきたい。

最後に、まだ実際の商業活動が本格的に始まっているわけではないので、あくまでも“今のところ”の話だが、独立してよかったな、と思ったことについて書く。

それは、「人の優しさに触れたこと」だ。

押し並べて人が優しいものなのかはわからない。わからないが、独立をすると、多くの人が応援してくれるし、その中の少なくない人が実際に助けてくれる。独立する前はそれについては全く予想していなかった。そして実際に、その優しさなしではここまで来れなかった。
優しくされる事で、こんなに幸福な気持ちになれるとは正直思っていなかった。もちろん、今までの人生でも、優しくされることはそれなりにあったのだと思うが、どこかそれを当たり前のもののように受け取っていた節があるように思う。
私が周りの人の優しさに値する人間なのか、と問われると、正直自信はない。これから彼ら彼女らの優しさにきちんと応えられるよう、良い香水を作り、ブランドを成功させようと思うと同時に、いつか私自身も、人に優しく出来る人間になりたい、と強く思っている。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。次回以降もぜひ読んでください。

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