Kamikaze
私が渡仏したのは2015年9月のこと。
その直後の2015年11月13日に、パリ同時多発テロが起こった。
当時、語学学校に通い始めたばかりの私は、フランス語学習者向けのスクリプト付きのラジオ番組(RFIのJournal en français facileだったと思う)でディクテーションの練習をしていたのだが、当然そこでもテロがテーマとなっていた。
ディクテーション中、私の耳は「カミカズ」という音を拾った。
カミカズ…フランス語っぽくない音だが、はて、何だろうか…と思いスクリプトを見てみると、"kamikaze"と書いてあった。
神風特攻隊のことだった。フランス語では、最後のeをéと綴らないとカミカゼという発音にならず、kamikazeという字面をそのままフランス語読みしたため「カミカズ」という音になっていたのだ。
テロリストの比喩として、神風特攻隊を引き合いに出していたのだ。
後に知ったことだが、フランスにおいて"kamikaze"はこういったテロ行為を指し示す言葉としてよく使われているものだったのだ。
この表現に反発する日本人は数多くいた。“神聖な”神風特攻隊を汚されたように感じたのだろう。SNS等で「テロリストと神風特攻隊を同列に扱わないでほしい」という主旨の発言を何度も目にした。
私自身はそういう発信はしていないが、御多分に洩れず私もそのように感じる1人だった。
しかし、のちにふと思った。
「お国のため」や「天皇陛下のため」という大義名分の元、闇雲に戦闘機で敵艦に突っ込む日本兵と、「ジハード」という大義名分の元、テロ行為に及ぶイスラム過激派と、本質的に何が違うのだろうか、と。もちろん、本人の選択なのか強制されたことなのか、時代背景や宗教等、細かい違いを挙げればキリがないが、大枠の構造はあまり変わらないのではないだろうか。
つまりこれは、戦時中の日本及びイスラム過激派から見ると、国際的に大きな批判となることを、1ミリの疑いもなく盲信しているということになる。
さらに、日本に関しては、教育なのかメディアなのか、何がその要因なのかはよくわからないが、未だに神風特攻隊を美化する傾向が強いように感じる。
この事実に気がついたとき、恥ずかしくなったと同時に、とても怖くなった。
私が日本人として25年以上疑いを持たずに抱いていた「神風特攻隊の美しさ」は、国際社会では全く通用せず、むしろそれは今日我々が忌み嫌うテロリストと同じコンテクストで語られているのだ。
「国際社会で言われていることこそが正しい」というつもりはない。しかし、改めて我々日本人が神風特攻隊に抱いている何らかの“神聖さ”や“不可侵さ”は、その文化の外にいる人には全く伝わらないし、そもそもなぜ我々が神風特攻隊に神聖さを抱いているのかというと、実は「刷り込み」以外に理由はないのではないか、とさえ思うようになった。
結局のところ、「常識を疑え」などと気軽に言うけど、我々は疑うべき常識に対し思いの外盲目である、ということなのだろう。
「神風」という言葉を聞くたびに思い出す出来事。
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