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「ニッククーラー」は無理がある

ようやく夏の終わりを感じさせる空気になった。日差しのある日はまだ暑さを感じるものの、空気は間違いなく少しの冷たさをはらむようになった。あともうちょっとすると、秋の素敵な雰囲気に心を躍らせながらもどこかあのねっとりとした湿度を恋しく思う日が訪れるのだろう。


今年の夏も例によって暑かったが、私の体感としては、去年や一昨年のそれに比べると幾分“楽”だった。近年の夏の方がもっと“猛威を振るっていた”ように感じられたのだ。

その証拠に、私はこの夏、ほぼ毎週末ロードバイクに乗って炎天下を100キロ以上走っていた。昨年はそこまでハードな運動はできなかった。もちろんサイクリング中は大量の汗をかいたが、熱中症になりそうな気配や夏バテといった症状は全くといっていいほどなかった。

「今年の夏、ちょっと過ごしやすくない?」

挨拶の枕詞が「暑いね」になるこの時期、私は空気を読まずにそんなことを口にした。

誰に言っても、きょとんとされた。「いや、めっちゃ暑いよ」と半ば驚かれ、半ば呆れられて返された。


間違っていたのは私の方だった。こんなニュースを目にしたのだ。

この夏の日本の平均気温は平年と比べて1.76度高く、気象庁が1898年(明治31年)に統計を取り始めてから去年と並んで最も高くなったことがわかりました。
(中略)
地域別でみると西日本が平年より1.4度、沖縄・奄美が平年より0.9度高く、それぞれ地域別の統計を取り始めた1946年(昭和21年)以降で最も高くなったほか、東日本は平年より1.7度高く1位タイとなりました。
(中略)
「異常気象分析検討会」の会長で東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は「去年は圧倒的に気温が高く『異常気象といって差し支えない』と発言したが、ことしもそれに匹敵する、もしくはそれを上回るような地域もあった。ことしの暑さも異常気象といって差し支えない」と述べました。

NHK NEWS WEB 『今年も最も暑い夏に 平年より1.76度高く 暑さの原因と影響は?』 2024年9月2日21時51分

どこをどう切り取っても、今年は例年より非常に暑く、昨年に勝るとも劣らない猛暑だった。「異常気象」という言葉まで踊っている。


なぜ私は今年の夏を過ごしやすいと感じたのだろうか。


実は去年も近いことを感じていた。去年は暑いには暑かったが、例年以上に身体がその暑さに耐えられるようになっていたのだ。

去年、私はひどく太った。今まででは考えられないほどの体重の増加だった。もしかしたら肉がついたことで酷暑に耐性がついたのかもしれない、と思っていた。


一冬越えて以前のように無駄な贅肉は落ちているはずだった。はずだったが、残念ながらそうはならず、今年も例によって私は肥満を背負って夏を過ごした。

昨年よりも今年の夏が楽に感じられたということは、今年私はさらに太ったのだろうか。ここ最近オバケよりも怖い体重計に近づくことすらできなくなったので真相は闇の中だが、お腹の辺りに手を当ててみる限りにおいてそれは否定できない状況となっている。


一般的に贅肉は“ミートテック”という形で冬にこそ活躍するはずなのだが、どうやら私に限っては“ニッククーラー”(「ネッククーラー」とかけようと思ったんだけど、無理があるね…本当はユニクロ繋がりで「エアリズム」とかけたかったんだけど…)的な役割を果たしているようだ。


もうすぐ「天高く馬肥ゆる秋」が訪れる。馬と一緒に私も肥え、そのまま冬を越し、春を過ぎ、また来年の夏は、「今年の夏、過ごしやすくない?」と空気を読まずに発言し、周囲から顰蹙を買うのだろうか。

夏が過ごしやすことは大歓迎なのだが、そろそろこの肉を落とさなければならない。肉が落ちても、夏が過ごしやすくなる、このアンビバレントな状況を解決する手段は、何かないだろうか…


そこではたと気づく。唯一の解決策は、地球温暖化にブレーキをかけることだと。


STOP THE 温暖化。

来年は本当に、過ごしやすい夏になっているといいね。


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