20241222_ むーたんととーたん、冬の1日

朝の陽ざしに包まれる頃、むーたんは今日も元気いっぱいに目を覚ました。ぱっちりと開いたその瞳は、何か新しい冒険が待っていることを知っているかのように輝いている。離乳食のうどんも、いつも通り完食。むーたんの成長を実感するたび、日々が宝石みたいにキラキラと輝いていく。

今日は特別な日。かーたんは美容院に行って、大好きなライブにも出かける予定だ。むーたんととーたん、二人で過ごす日。かーたんが渡す「今日のやることリスト」を片手に、とーたんは少し緊張気味。でも、大丈夫。むーたんと一緒なら、きっと何だってできる気がする。

「うどんをすりつぶすと、粘りが出てくるのよ」
そう言いながら、かーたんは離乳食を準備していた。その後を引き継いだとーたんが挑戦してみたけれど、なかなかうまくいかない。「すりつぶす」という小さな動作が、こんなに愛情に満ちた仕事だなんて。

むーたんがお昼寝をしている間、とーたんは簡単なレトルトカレーでランチを済ませる。どこか侘しさを感じるけど、それも悪くない。むーたんが起きる頃には、寒さに負けないよう完全防備で図書館へ。読み聞かせは中止だったけど、絵本を一緒に読む時間は、それ以上に特別だった。

ふとスマホを見ると、かーたんからLINE。「吉祥寺くる?」
むーたんを抱っこ紐に包み、冷たい風を受けながら向かった吉祥寺。サンロードの入口でかーたんと再会したむーたんは、髪を切ったかーたんに一瞬気づかない様子だった。でも、ハッとしたその瞬間の笑顔。あぁ、むーたんにはこんなに素直な感情があるんだ。

ヨドバシでクリスマスプレゼントを買って、吉祥寺の街をぶらぶら。たこ焼きを手に、バスに揺られて帰る道中、むーたんは安心したように眠りにつく。その小さな寝顔は、とーたんにとってこの日の何よりのご褒美だった。

家に帰り、バタバタとお風呂と寝る準備をする。とーたんはまだ慣れていない手つきで奮闘するけれど、むーたんの泣き声に少し焦る。だけど、ミルクを飲んでスヤスヤと眠るむーたんを見て、どこかホッとした。

夜、久々にテレビをつけてM-1グランプリを観る。「バッテリー」という漫才が面白かった。ふと、かーたんが帰ってきた気配がする。ライブで疲れているはずなのに、むーたんを見て嬉しそうな顔をするかーたん。それを感じたむーたんも、寝ぼけながら手を伸ばした。

とーたんにとって完璧な1日ではなかったかもしれない。でも、かーたんは優しく「ありがとう」と笑ってくれた。その一言があれば、大丈夫な気がする。

むーたんととーたん、冬の1日は静かに終わった。小さな家族の物語がまた一つ増えた、そんな日だった。

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