水没のシーラカンス

多分、いくつになっても
私は独りなのだろうな

本当の意味で分かり合える人間など
いないのだろうな

水を得た魚
逃げる様に泳ぐ

大海が怖くて
深海へと逃げる

水圧に耐えて
その身を変化させる

色は意味を無くし
形状は奇抜に

底に沈む死骸を
独り食むが日課に

それは孤独なのか
孤独とは淋しいという感情の事か

例えば孤独な人が群れたらば
それは孤独ではなくなるのか

ならば人の群れる繁華街
あれは孤独ではないのか

孤独とは心情なのか
或いは状態の事か

ごわごわと胸の奥で
雑多な感情達が溢れる

ああ、

人は醜い

そして世界は美しくない

人が汚すぎるのだ

ただ、時折

相対的に美しく見えたりもする

それだけの事。

多分、いつになっても
争いはなくならない

多分、いつになっても
平和は訪れない

本当の意味で分かり合える人間など
いないし

本当の意味で信じ合える友人など
いない

では、広義では?
世界は平和である
争いは歴史の上で完結するし
人は法の下で平等である

ならば、何故ー?

平均的な及第点
それに尽きる

下限と上限は平均の中で平等であるから
突出した禍福は逸話に過ぎない

私達はその中で泳ぐ独りの魚だ
情報の潮に翻弄される回遊魚だ

相応の自由と
相応の秩序と
抗えぬシステムのイワシの群れ

命の儚きを体現する
愚鈍なマンボウ
時に人を食い物にする
暴食のサメ

かしこも朽ちる事は必然で
日々の往来も
事もなく平らで
穏やかに揺れる水平線の様

私はその中で
息苦しく生きる
水の苦手な無様な化石魚


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長月ユウタ
チップ…自分の為にお金は使って欲しいし、ライブとか見に来て欲しい。でもいただいた気持ちは何倍にもして返したいと思うよ🥹