チュートリアル
幻想の中で
白闇の中で
あのモヤの中で
誰かが手を振っている
懐かしい様な
不気味な様な
ハッキリとした輪郭も
見えないのに
『会いに行かなくちゃ』
そんな気がして
足を進めるけれど
辿り着けない
砂利を踏む
地面の感触はあるのに
景色は変わらず
薄ぼんやりの白
確か誰かが
白は潔白の色だと
言っていたのだけれど
それは嘘だ
こんなにも視界を遮る白が
存在し得る
ただ遠くに見える
私に振っている手の
持ち主に会うために
歩を進めている
暑くもなく
寒くもなく
少し涼しいのに
やや湿っぽい
ここは何処だろう
あれは誰だろう
これは夢だろう
多分夢だろう
緩やかな死を暗示する様な
あの人に辿り着いた時に
命の終わりを告げられる様な
そんな夢だろう
この夢の果て
あのモヤの果て
それは命の果て?
或いは夢と現の果てか
いずれ朽ちるこの身と
それを感じる暇を与えない現実と
たまに訪れる世の不条理と
ささやかな幸せの中
生命とは
生きる意味とは
答えの無い問答のイコール
この状況こそが、そうか
答えが無いのが答え
終わりの無い道程
睡眠という死の予行
私は、覚醒するまで
あの影に向かい歩く事にする
それが終末への準備だとしても
予期し、予知し、
予め備えるのだ
絶対的な存在が
目の前に現れた時
ただ畏れて終わるなんて
真っ平なんだから
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チップ…自分の為にお金は使って欲しいし、ライブとか見に来て欲しい。でもいただいた気持ちは何倍にもして返したいと思うよ🥹