誰も教えてくれない『コミュ術』〜不安を取り去り頼み事を聞いてもらう力〜【後編】
どうも、ノート君です。前編に引き続き『頼み方』について解説をしていきます。後編では、すぐに使える実践的なテクニックをご紹介します。
【してはいけない頼み方、基本の頼み方】
さて突然ですが、皆さんは誰かに頼み事をして断られたことはありますか?ある、という方はなぜその頼み事が断られたか…。もしかしたらやってはいけない頼み方をしていたのかもしれません。以下にしてはいけない頼み方をまとめます。(これから頼み事をしたいという方もぜひ参考にしてください)
1.共感に頼りすぎる 2.やたらと謝る 3.言い訳をする 4.頼み事の内容やたのしさを強調する 5.その頼み事は些細なものだと強調する 6.借りがあることを思い出させる 7.自分の利益を強調する
1.共感に頼りすぎる 共感には、誰かを助けたいとおもう強力な動機になります。しかし、あまりにも残酷なことや自分の惨めさを強調するなど、度が過ぎると逆効果になります。
2.やたらと謝る 自分の謙虚さや申し訳ないという気持ちを相手に伝えようとしすぎて、何度も謝罪する人がいます。しかし、謝ることはよそよそしい関係性に繋がります。その時は頼み事に応じてくれるかもしれないですが、相手は距離感を感じているので、助けたいという気持ちではなく『しなければいけない』という感覚になります。そうなると、次に頼み事に応じてくれる可能性は低くなるでしょう。
3.言い訳をする これは、他のことにも通ずることですが、自分は弱い人間ではない、ワガママな人ではないことを証明しようとして、言い訳を口にすることに懸命になるひとがいます。 例『あんまり頼み事はしないんだけどね』 『他に手段があるなら、君にお願いなんて しないんだけど…』 『本当は頼みたくはないんだか』 このようなことを言っていませんか?助けを求めることが気まづいことであっても、言い訳はしないようにしましょう。
4.頼み事の内容の楽しさを強調する 何かを頼む時、その頼み事を引き受けることのメリットを強調してはいけません。誰かを助けることは幸せな気分にさせますが、それを決めるのは頼む人ではなく頼まれる側です。 例 『ねぇ、〇〇お願いしてもいい?やったら きっと楽しいよ!』 『来週、〇〇するの手伝ってくれない?つ いでに美味しいお酒と料理で久しぶりに ぱーっとやろう!』 このような言い方をされると、自分がどう感じるかを先回りされたような感覚になり嫌な気分になります。
5.その頼み事は些細なものだと強調する 頼み事を小さく見せかけることは、相手の助けたいという気持ちを小さくします。 例 『なんかお菓子買ってきてくれる?買物 のついでにさ!』 『お風呂掃除やっといて。5分もかからな いでしょ。』 頼み事の労力を判断するのは相手です。最初から決めつけるのはやめましょう。
6.借りがあることを思い出させる 相手に対して借りがあるという感覚は、返報性の原理によって助けたいという気持ちにさせます。しかし、自分には貸しがあるとアピールすることは、相手側にコントロールされているという感覚を与えます。 例 『そういえばこの間、〇〇したよな』 『昔よく、あなたに〇〇していた時のこ と覚えてる?』
7.自分の利益を強調する 助けられた後、あなたはどんな感謝の伝え方をしていますか?感謝の伝え方には2通りあります。
◎他者称賛 例 『あなたは本当に思いやりがある人なん だね』 『君はそのことに関してなら誰にも負け ないね!』
◎自己利益 例 『いやぁ、君のおかげでほんとに楽させ てもらったよ』 『めっちゃ嬉しい!』 『このこと、他の人に自慢できるよ!』 あなたはどちらのタイプの感謝の伝え方をしていますか?自己利益型の感謝をしている人は要注意です。そもそも助けるという行為は、アイデンティティや自尊心と関わっており、相手(頼み事をする側)からのフィードバックをもらってこそ、それらが確立されるのです。自分がどんな気持ちになったのかを話していては、相手はいい気分にはなれません。
以上が、してはいけない頼み方7つです。特に7つめの自己利益型の感謝に関しては、当てはまっている人が多いのではないでしょうか。自分の胸に手を当てて聞いてみてください。
してはいけない頼み方を習得したら、つぎは頼み方の基本です。以下にある4つのステップを踏まないことには、頼み事は聞いてもらえません。じっくり見ていきましょう!
1.相手に気づかせる 2.助けを求めていることを確信させる 3.助ける側は責任をおわなければいけない 4.助ける人が、必要な助けを提供できる状 態でなければならない
もしあなたが、都会のど真ん中で立ち上がれないほどの怪我をしたとします。あなたは急いで救急者を呼ぼうと、バックに手を伸ばしたところで、スマホを家に忘れてきたことを思い出します。あなたは誰かに助けを求めなければなりません。しかしいくら叫んでも誰も気づいてくれません。
STEP1相手に気づかせる 騒音や注意を引くものが多いい都会では、知覚的な負荷が高くなり、不注意による見落としが起こりやすくなります。また、不安や鬱などのネガティブな気分は、周りへの注意力を低下させます。
ようやく、1人の若い男性と目が合いました。少し歩くスピードがって、こちらにきてくれるのかな?と思いきやなかなか来てくれません。
STEP2助けを求めていることを確信させる 誰かを助ける、という状況には恥をかきたくないという『大衆抑制』が働きます。この心理は大きく2つあります。 1.目の前状況を誤解しているかもしれない 2.求められてもいないのに助けようとする と、相手の気分を害する これら2つの大衆抑制によって不安が募り、なかなか行動出来ない状況が生まれるのです
そこであなたは、『そこの、青いネクタイの若い男性の方っ!』と具体的に相手の特徴を言うことによって、助けを求めていることを確信させようとしました。しかし、その男性とあなたとの距離は少しあり、男性は周りをキョロキョロとみながら、足早にどこかへ行ってしまいました。
STEP3助ける側は責任をおわなければならない ヒトは、自分の周りに、困っている人を助けられる人が多くなるほど、自分が助けるべきだという責任感が薄れていくのです。『他にもたくさん人がいるのに、なんで自分が…』と思ってしまうのです。
あなたは、これだけ助けを求めているのになんで誰も振り向いてくれないんだ、と途方に暮れていました。すると『まぁ、あなた…』と後ろから驚いたような声が聞こえたので振り返ってみた。そこには、60~70代くらいの杖を持った小さなおばあちゃんがいました。そしてようやくあなたは、救急車で病院へと運ばれました。
STEP4助ける人が、必要な助けを提供できる 状態でなければならない 現代人は誰もが毎日忙しい日々を過ごしています。そんな日々を過ごしていると、助けたいとは思いつつも、やることがあったり、時間におわれていたりと、助けたくても助けられない状態にあるのです。そこで、このような忙しい人から助けを得るには3つのポイントがあります。 1.どんな助けを求めているかをハッキリと 説明する 2.妥当な量の助けを求める 3.求めていたものとは少し違っても、相手の 助けを受け入れる
以上が、頼み事をするときの基本です。
そして、いよいよラストです。
『悪用厳禁』頼みごとの3つの神器
最後のテクニックは、人間の根本にある欲求に働きかけ、頼み事に応じてもらうもの。ですので、使い方を間違えると取り返しのつかないことになる場合もあります。適切な使い方をするよう心がけてください!
1.仲間意識を活用する 2.自尊心を刺激する 3.有効性を感じさせる
1.仲間意識を活用する ヒトの脳は生まれつき他者と共存するのに都合がいいように作られています。誰かとの関わりや、ある集団の一員であることは、個人のアイデンティティにとって重要な要素になります。そして、とくに重要なのが、内集団と外集団との区別です。主に内集団対しては、受容を示し、外集団に対しては、軽蔑を示します。ここでは、言葉によって、自分と相手が同じ集団(内集団)であることを意識させることによって、頼み事を聞いてもらう方法を紹介します。
▶『一緒に』という言葉を使う 「えっ、そんなこと!?」 と思われるかもしれませんが、しかしこれは、スタンフォード大学の研究によっても立証されています。『一緒に』という言葉は、脳にとっては他者と結びつく強力な手がかりとなり、報酬のような機能も果たすのです。 ▶共通の目標に目を向ける 脳は、その人が自分と同じ目標を持っているかどうか、成功がその人にかかっているかどうかに、とても敏感です。そのため共通の目標に意識を向けさせることは、相手から助けを得ることにつながります。 例:『そういえば、あのドラマ22時からは じまるんだったっけ!あなたも見たが っていたよね。私は料理の支度をする から、お風呂掃除おねがい!』 また、この原則は、チームの雰囲気作りにも役立ちます。『売上を15%増やす』 『今年までに新製品を開発する』 といった目標を全員が意識していると、連帯感が生まれます。 ▶共通の敵を探す 第三者に対する敵意は、共通の目標を意識しせるのと同じ効果があります。これは、身近な例で言うと、誰かの愚痴を言い合ってなんとなく仲良くなった、みたいなことからも言えます。しかしこのテクニックは、言い方を変えれば、悪口にもなり得るので使い方には注意を…。 ▶共通の客観的特性ではなく、共通の経験や感情について話す。 心理学では、共通点をふたつのタイプに分けています。 1.『経験』・・・特定の状況や経験、テーマ についての個人の気持ちや 考え 2.『客観的特性』・・・出身校、趣味、誕生 月等 お互いの共通点に注目することは、仲間意識を高める良い方法です。ただし、一般的には、客観的特性より経験についての方がより強力です。経験については、相手から聞き出そうとするよりも、自分から積極的に言うようにしましょう。また、一緒に新しいことにチャレンジしたり、ジェットコースターに乗って興奮するなど、同じ体験をすることによっても仲間意識は生まれます。ぜひやって見てください。
2.自尊心を刺激する ヒトは、どんな行動をしたいかより、どんな人間でありたいかによって行動を起こします。また、基本的にヒトは自分は親切な人であるとみなしたがっています。そして、親切な人間であると自覚することはそのひとの自尊心を高め助けることへの意欲を高めます。
▶感謝を伝える 先程も少し触れましたが、やはり感謝を伝えることはとても重要なことです。感謝を伝えられる側は、その相手とその後も長期的にその人に興味を持ち、関係を維持することがわかっています。逆に言えば、感謝を伝えないことは、人間関係を台無しにすることすらあります。 ▶助ける側のアイデンティティを考える 人にはそれぞれ違った価値観があり、その価値観を肯定するように、助けを求めることが大切です。例えば人を『すぐに行動したい人』『じっくり考えてから行動したい人』に分けたとします。あなたは、その人をキャンプに誘おうとします…。
すぐに行動したい人には・・・ 『ねぇ、今度の週末キャンプにいかない?出来れば今日、この後キャンプグッツ見に行きたいんだけど、どうかな?』
じっくり考えてから行動したい人には・・・
『ねぇ、今度の週末キャンプにいかない?まだ時間があるから、予定確認したら連絡ちょうだい!』
このようにキャンプに誘う、と言うだけでも全く違ったアプローチの仕方ができます。普段から相手がどのような価値観で行動しているのかを考えてから、伝えてみましょう! ▶その相手だけに頼む 誰にでも出来ることは、自尊心を高めにくいです。自分にしかできない形で誰かを助けることで、人の自尊心は高まります。ですから頼み事をする時には、『これはあなたにしか出来ないことです、だからこそぜひお願いしたい』と伝えるべきです。
3.有効性を感じさせる ヒトは快楽を求め、苦痛を避けるように生きていると言われることがあります。しかし、それだけではないこともわかっています。 誰しも、苦痛だと分かっていながら果敢に挑戦することがあります。挑戦は、自分の行動が現実世界に影響を及ぼしているという手応えを与えます。これが、有効性を感じるということです。頼み事をする時に、『これをお願いしたら大変かなぁ』と思うことがあると思います。ですが、助けることに多少の苦労があったとしても有効性さえ感じれば、その人とっては良い事なので、あまり気にする必要はありません。では、さっそく助ける側の有効性を高める方法を見ていきましょう。
▶求めているものがどんなもので、どんな結果をもたらすのかを、事前に明確に伝える ▶フォローアップをする(成果報告をする) ▶出来れば、相手に好きな方法を選ばせる
これら3つは簡単に出来ますが、いちいちするのが面倒くさくて、端的に伝えてしまうことが多いいと思います。ですが、しっかりやれば想像以上の協力を得られることは間違いありません。また、先程から言っているような、感謝を伝えることも有効性を感じさせるのに役立ちます。
以上3つのテクニックをお伝えしました。『仲間意識』『自尊心』に関してはどちらか1つ入っていれば効果があります。『有効性』 は頼み事をする際には必ず必要になります。常に意識して、頼み事をするようにしましょう。
いかがでしたでしょうか、長めになりましたので、前編・後編と分けさせていただきました。頼み事は生活の中のあらゆる場面で行われており、不安や後悔の念を抱いている人も多いいと思います。そこで、ここで紹介したテクニックを使って、少し生きやすくなれば幸いです。
ご観覧ありがとうございました。
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