日本のスポーツ選手のノンフィクションとして最長級となったこの本の楽しみ方と読み方について【香川真司「心が震えるか、否か。」発売記念☆毎日更新!9日目】
*トップ画像はUDN SPORTS提供
この本の読み方について
一部の書店には並び始めていますし、スポーツナビ(←クリック)でも、すでに第1章の冒頭のエピソードが公開されています。それをご覧になった方も多いかもしれません。
今回は、普通の本とは少し異なる形で作られた『心が震えるか、否か。』の構成と読み方について紹介します。
この本は10個前後のエピソードで1つの章が構成されています。そして各章は香川選手が住んでいた都市の変遷と合わせてあります(詳細については6日目のnoteをご覧ください→こちら)。
この本の大きな特徴が、各エピソードの本文が終わったあとに「FROM SHINJI」というパートが設けられていることです。以下のような形です。
本文はノンフィクション形式で書かれているのに対して、「FROM SHINJI」というパートは香川選手が一人語りをしているスタイルでまとめられています。
なぜ、このような構成になったのかを説明する前に、アスリートの本の種類について触れましょう。
アスリートの本は、大まかに2つのパターンがあります。
1つが、本人が語っているかのような口調で書かれたもの。例えば「僕はあのとき~」みたいな感じで文章が進んでいくものです。
もう1つのパターンが、いわゆるノンフィクション形式。「香川は~」とか、「クロップ監督は~」というように書かれているものです。
1つ目の形式、つまり語り口調で書かれたものは、確かに読みやすいです。
ただ、そのスタイルでは、選手本人の功績も失敗談も、数十パーセントくらい薄まって状態で伝えることになってしまいます。
なぜなら、その人がものすごく価値のあることを成し遂げたとしても、一人称で書かれた場合には、かなり控えめに書くしかないからです。失敗談や後悔したエピソードについても、同様に薄いものになります。
例えば、「僕は○○を成し遂げた。これは日本人で初めてのことだ。我ながら、すごいと思う」みたいに書かれていたら、どう思いますか?
読む方は興ざめしてしまいますよね。だから、その人の功績については、かなり控えめな表現にとどまるのです。
この本を作る最大の目的は、読んでくれる人たちに何かを感じてもらい、それを明日へのヒントや活力にしてもらうことです。
だからこそ、リアルな描写は必要だと考えて、ノンフィクション形式になりました。
しかし、です。
この本のために膨大なインタビューが行われているし、時系列に沿って書かれた文章では入りきれないほど多くのエピソードや香川選手の言葉が手元にはありました。
だから、各エピソードのあとに、「FROM SHINJI」というパートを入れ込むことで、それらをできるだけ多く伝えることにしました(*例外的に「FROM SHINJI」のパートが設けられていないエピソードが少しだけあります)。
もちろん、せっかく貴重なお金を払って買っていただくのだからこそ、「こんなパートまであってお得だな」とか「この本を買って、色々と知ることができて良かったな」と感じてもらいたいという考えもあります。
他にも、この本ならではの特徴がいくつかあります。
サッカーに詳しい人が読んだときのことを考えて、かなり多く、58個の脚注をつけました。*がついているものです。脚注がついた箇所については、各エピソードの終わりに説明をふけてあります。
サッカーについての知識がある程度ある人にとっては、わざわざ説明されるとクドいなと感じる言葉や表現があります。
一方で、サッカーに詳しくない人にとっては、前提となる知識がないから、何を意味するかわからないような用語もあります。そういう状況を想定して、脚注を多くつけることにしました。
また、選手名も海外の人の名前は、あえてフルネームではなく、名字だけにとどめさせてもらいました。一部の人にとっては見なれないカタカタが並ぶことで読む際のハードルが上がってしまわないようにという配慮からでした。
そして、みなさんもお気づきのように、この本は各ページが上下二段組になっている。これはかなり珍しいケースです。
近年の書籍でいうと、2016年に幻冬舎から発行され、直木賞を受賞した恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」なども、このようなスタイルです。
『心が震えるか、否か。』が、このようなスタイルになった最大の理由は、分量が多いからです。
スポーツ選手の本としては最大級のボリュームになっているため、よくあるスポーツ選手の本と同じような文字の大きさや、文字や行の間隔で設定していますと、ページ数が増え過ぎてしまいます。
そうなれば重くなり、手に持って読むのはつらくなります。そして何より、価格が上がってしまいます。そうした事態を避けるため、というのが1つ目の理由です。
ただ、理由はもう1つあります。
それは読む際の目の動きを考えたからです。
同じような文字の大きさのまま、各ページを一段構成にしてみると、どうなるでしょうか?
1つの行がものすごく長くなるため、本の上から下まで小さな文字に合わせて、視線を動かしながら読むことになります。実際にそのようなバージョンも制作の途中に試してみたのですが、非常に読みづらかった。
でも、2段組にすると、1行を読む際の視線の上下の動きを半分にできます。
実際に読んでもらえればわかると思うのですが、それだけで目にかかる負担はかなり小さくなります(電子書籍版をタブレット端末で表示させると、2段組の1段にピントを合わせると結構読みやすいです)。
実際に読んでもらうときのみなさんを減らすため、というのが、もう1つの大きな理由なのです。
本書の第4章、P150で三浦知良選手が香川選手について、こう話しています。
「そんな日本人選手は、これから20年たっても、出てこないかもしれない。それくらいの偉業ですよ」
何が偉業なのかは実際の該当ペースを読んでもらうとして、そんな特別な経験をしてきた選手の本だからこそ、特別な作りになっているというところも楽しんで読んでいただけたら幸いです。
この本を書く際の資料の山です。これだとピンとこないかもしれませんが、本そのものの高さをこえるほどの資料の山でした。
明日の発売、お楽しみに☆
今後のメディア掲載・出演情報
4月7日24時(8日午前0時)からスカパー!の「スポーツライブ+」のブンデスリーガのプレビュー番組「Pre Meister」でミムラが出演しますが、そこでもこの本を紹介させていただく予定です。無料放送&無料配信中の番組スケジュールなどは以下をご覧ください。
日本最多アクセスのスポーツサイト「Sportsnavi」にて本日、第1章の最初の2つのエピソードの全文が公開済。
4月7日に第2章の最初のエピソード全文が公開予定です。今後のスケジュールや詳細は以下から。
「心が震えるか、否か。」を買いたい方のための購入先リンク集
主な販売サイトのリンクを以下に貼らせていただきます。
アマゾン https://amazon.co.jp/dp/4344037227
楽天 https://books.rakuten.co.jp/rb/16680856/
紀伊国屋書店 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784344037229
Yahoo!ショッピング こちらをクリック
au PAY マーケット https://wowma.jp/item/496333259
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