\無料公開/スタートアップ向け予算管理テンプレート
こんにちは!ニコリーの檜垣(@yusukehigaki22)です。
弊社は1年半まえに2回目の資金調達をして、0→1から1→10のフェーズに移りました。
同じタイミングで元銀行員のVCの方に社外取締役になっていただき、会社の経営管理周りの基礎をイチから教えてもらうことに。
そこで「予算管理を始めていこう」ということになり、良さげなテンプレをネット上を探したのですがエクセルのものしかない。
私はそのVCの方と一緒に予算管理をしていきたかったので、スプレッドシートがいいなぁ、と思っていました。
「まぁ無いならつくるか」という軽い気持ちでシートをつくりはじめ、早1年。VCの方にアドバイスを頂きながら何度も改良を重ねて、それなりに良いものに仕上がってきました。
特に社外に公開するつもりはなかったのですが、最近noteやtwitterにはまってて、ネタを考えているときに「もしかしたら自分と同じようにスプレッドシートの予算管理シートを探している人がいるかも?」と思い、下記のツイートをしてみました。
このとき自分のフォロワーが700人くらいだったので、100RTはなかなかハイボールだよな〜と思いながら投稿したのですが、一日で400人以上の方にRTしていただきました。
めっちゃニーズあるやん…!
ということで、約束通りnoteで予算管理シートと使い方を公開することにします。
予算管理シートの実物をみてみよう
兎にも角にもまずは実物をみてみましょう!
予算サマリー
予算グラフ
予算
実績
予実
実物をみたい方は下記のリンクからどうぞ。
ただし、こちらのnoteに戻ってきてください!
予算管理シートには「使い方やルール」があります。それを知らずして使ってももったいないので、この後、解説していきます。
では各シートの用途と具体的な使い方をみていきましょう。
予算サマリー
予算サマリーは、予算を年間ベースで集計し全体像をグラフを使って視覚的にわかりやすくしたシートです。
左側の表が年間ベースのPLで、右側のグラフがPLの中で注目する指標をグラフ化したものですね。
予算を組んでいるときに右側のグラフを見ながら「4年後に売上10億に満たず上場できないから、もう少し予算を高くしなきゃ」とか「営業利益率80%ってこんなに高いわけないな、販管費を見直そう」とかを考えることができます。
また。7行目〜29行目が非表示になっていると思うのですが、こちらを開くとこのようになります。
販管費の内訳がでてきましたね。
この予算サマリーは、最も粒度を荒くして全体像をひと目でわかりやすくするためのページとして使っているので、販管費の内訳は通常非表示にしています。
前述の例のように販管費を見直そう、となったときに開いて見てみる感じです。
重要なポイントとして、予算サマリーは完全に閲覧専用です。すべて関数が組まれているため、なにか入力するようなことはありません。
予算グラフ
予算グラフは、KGI・KPIの伸びをグラフを用いて視覚的にわかりやすくしたシートです。
この予算管理シートは、クリック課金型の広告をビジネスモデルとした記事メディアをイメージして、サンプルの数値を入力しています。
このようなビジネスモデルの場合、KPIとしてインプレッションやCTRを追うことが多いので、その伸びをひと目でわかるようにしています。
また費用面では社員数や広告宣伝費が重要な指標になってくると考えられるので、そちらも併せて掲載しています。
このあたりは自社で追いたい指標に合わせてカスタマイズしてください。
予算グラフの数値はGraphDataシートから引っ張ってきています。次にそちらを見てみましょう。
GraphData
GraphDataは予算グラフシートを作成するためだけに利用されるシートです。
そのため通常、閲覧することはありません。私はいつもシートを非表示にしてしまっています。
セルを小さくしてしまっているため分かりづらいですが、1行目には日付(2018/01/01、2018/02/01…)が1ヶ月ごとに入っています。
こちらが先の予算グラフのx軸の日付になっています。
また2行目以降は予算グラフで表示させたい指標とその数値を記載しています。
ここで数字の文字色が緑であることにお気づきでしょうか?
あえて緑色にしているのは「数値を他のシートから参照している」ことを示すためです。
これを行うことで「緑色の数値は参照の値だから触らないようにしよう」というのが直感的にわかる効果があります。
これはこの予算管理シート全体の統一ルールです。「緑色は参照値、触らない」を覚えてくださいね。
では、この緑色の数値が参照している数値を見ていきましょう。
予算
予算シートは予算管理の中でも肝心要のシートで、向こう4年間の予算を月次ベースですべて記載したシートです。
売上はもちろんのこと費用についても、PLにおける科目ごとにすべて月次で金額を計算し記載してあります。
上記の画像は一部分だけなので、ここで全体像をみてみましょう。
どうですか?気が遠くなりましたか?笑
スプレッドシートの行は、これで95行あります。
ちなみにあくまでサンプルデータのため、これだけの行数で収まっていますが、弊社で実際に使っている予算シートだと2倍近くの行数があります。
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☕COFEE BREAK☕
私も、よく甘々な予算を作ってはVCの方にご指導いただき修正、というのを繰り返してきたのですが、この作業が本当に大切。
作れば作るほど、事業の解像度があがっていき、集中するべき数値がわかってきます。
なので、ここは頑張りましょう。
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各数値をどのように計算していくかを説明すると、膨大な量になってしまうので、そこはスプレッドシートの関数をみていただければと思います。
ここでは重要なポイントをいくつが説明しますね。
まずは数字が青色になっているセルがあるかと思います。
先程の緑色の数値が参照数値だったのに対して、青色の数値は入力数値。自由に変更できる数値となります。
普段はこの青色の数値をいじりながら予算を完成させていきます。
一方、黒色の数値は関数値、とでもいいましょうか、青色の数値をもとに計算される数値です。
青色:入力値、緑色:参照値、黒色:関数値
これは全体統一のルールです。触って良いのは青色だけです。
ちなみに95行のうち青色の数値は42行だけ。後は自動で計算される数値。なので実際に考えなきゃいけないのは、半分もないんです。
少し安心しましたね。
ただし!青色の数値はロジックが必要です。そしてこのロジックこそが経営者の腕の見せどころ、頭の使いどころです。
ロジックについては、スプレッドシートのメモ機能をつかって、各項目に記載しておくとVCに説明するときや忘備録に便利です。
(私はすべての青色の行の項目の部分にメモをつけています。)
青色の数値をすべて埋めて予算を作ったら、まったく同じものをコピーして実績シートを作成します。
実績
実績シートは毎月の結果を記載していくシートです。
私は毎月月初にこの数値を埋める作業をしています。
ここでも重要なのが青色と黒色の数値。実際に入力するのは青色の数値で、黒色の数値は関数をコピーするだけでOKです。
さて、お気づきでしょうか?
実は予算のシートと実績のシートでは青色と黒色の数値が違います。
たとえばインプレッションについて考えてみましょう。
予算作成のときは、どのくらい広告のインプレッションが出るのかがわからないため、成長率を変数(青色)として、インプレッション数は関数値(黒色)としています。
「この規模なら毎月100%くらいは成長しないとな」といった発想で考えていくんですね。
一方で実績値の場合は、インプレッション数がGoogleAdsenseなどの管理画面を見ることで明確に分かります。
そのためインプレッション数が変数(青色)となり、前月比の成長率が関数値(黒色)となるんですね。
このあたりはややこしいように聞こえるかもしませんが、実際にやってみるとすんなりいくので心配はいりません。
さて、毎月の実績も掲載できたら、最後にみるのは予実の達成率です。
予実
予実シートは予算と実績の達成率を把握するためのシートです。
全て緑色と黒色の数値でシートが構成されていますね。
色分けのルールが頭に入っている方ならもうおわかりかと思いますが、このシートは閲覧専用です。
予算シートと実績シートから数値を引っ張ってきて、その達成率を計算しています。
これを見ると「インプレッションの達成率が60%しかいっていないな」とか「交際費がやたら大きくなっているけど何でだ?」といった洞察が得られます。
私は、毎月月初に実績シートに結果を記載する→予実シートで順調かどうか判断、という流れで使っています。
さいごに
いかがでしたでしょうか?実際のシートは下記ですので、コピーして自由にお使いください。
今後もスタートアップで使えるテンプレートやノウハウを公開していこうと思っています。
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追記(2018年8月7日):多くの方にお読みいただき有難うございます!確認をとる前だったので、こちらを作成にあたりご指導頂いていたVCの方の名前を出していなかったのですが、御本人OKがもらえたので、公開します〜!こちらグロービス・キャピタル・パートナーズの渡邉さんと一緒に作成させていただきました。
お困りの起業家welcomeとのことなので、厳しい指導でも耐えられる方は(笑)ご連絡してみると良いかもです!
https://www.facebook.com/yuki.watanabe.3551
追記(2020年9月25日):予実管理シートの公開から2年が経ちましたが、いまだに多くの方々に新たに使ってもらっていて作った甲斐がありました。もし予実管理にお困りの方がいらっしゃいましたら、私が直接コンサルさせていただくことも可能ですので、ご希望の方は私のメールアドレスまでご連絡ください。
yusuke.higaki@nicoly.jp