家族のつながりを感じつつ、昔からのしきたりも大事にしていた頃の話
2015年、春。お孫さんの受験の時には、宝島郵便局に「キットカット(きっと勝っと)」を買いに行かれた。
ちなみに、数年前の僕は、これは試供品だと勘違いし持ち帰り、郵便局から電話がかかって来た。万引きするところだった。いや、一度万引きしていた状況だ…😓
時を感じる写真
シマさんのお孫さんが、宝島中学校を卒業。
そのお孫さんの入学式では杖で歩いていたシマさんだったけど、3年の月日の中で、車椅子に座っての出席だった。
時を感じさせられる写真だ。僕は、この写真、大好きだ。
シマさんが足が悪くなったのは、2014年に転倒し、骨折されたことも大きかった。入院先の病院でも『シマ節』で大人気だったそうだ。「頭が寒そうなおじさんがいて、帽子を編んであげたの。」「みんなが毛糸を持ってくるから。」と、熱心にされた編み物は、今でも続けられていて、シマさんへのお土産は毛糸が定番だ。
旅立ちの朝
シマさんは、宝島を旅立つ、孫を見送りに早起きをした。宝島を出発する船は、日の出前だ。学校からの見送りを遠くで眺めるシマさんの姿が印象的だった。
娘から母へ
美江子さんは誕生日を迎えられ、娘の手紙のプレゼントに、涙される。
あつ子さんの手紙には、これまでの感謝の言葉と、色々な葛藤があったことを感じさせられた。介護施設のなかった島に、迎え入れた初めての泊まり前提の利用の方だった。地元だからと簡単には行かない。親子とはいえ、難しいところもある。
普段のお二人の様子とのギャップに、僕も、もらい泣きしそうになった。一緒に過ごさせていただく月日の中で、お誕生日のお祝いも落ち着いた感じになってきていた。
神様が歩く日
宝島には「シチグウ」という日がある。シチグウの日には、集落を神様が歩くと言われる。
「神様が歩くから、道の真ん中を歩いてはいけないよ。」
「外に出る時には、これ(お札)を持ちなさい。」
「間口にはこれ(お札)を、貼らないといけないよ。あと、トベラの葉もね。」
僕は、宝島移住、初めての年に、不思議で怖い思いをしている。なので、毎年欠かさず、しっかりと言い伝えを守っている。
頼む・頼まれるという役割
シチグウの話を聞く中、「昔は食材を持ち寄って、鍋をしてたよな。」そんな声を聞いた。早速、動いてみる。島で料理が得意と評判の望さんに相談に行った。「材料はあれがいいぞ。醤油はこれがいる。」さすが、望さん、こだわりが強い。
望さんが腕をふるって、おでんを準備してくれた。昔はあったならわしを、引き戻した形だ。周りの人からも評判が良かった。
それから、「お前らの頼みはきかん!」と言われながらも、変わらず、活躍してくれる。