NHK交響楽団第1939回定期公演
昨日、18時から20時までNHK FMでNHK交響楽団の第1939回定期公演の実況中継を聴取しました。
今回は、前半にブラームスのヴァイオリン協奏曲、後半にニルセンの交響曲第5番が演奏されました。ヴァイオリン独奏はレオニダス・カヴァコス、指揮はヘルベルト・ブロムシュテットでした。
ブラームスは第1楽章の最後で伴奏にややもつれがあったものの、カヴァコスの演奏は終始瑞々しく、聞きなれた作品を冒頭から聞き手の注意を逸らさない内容に仕上げたことは、大きな成果であったと言えます。
また、後半のニルセンについては、混沌から光明へという構成の力強さの一方で、2つの楽章の性格の対比、さらには楽章内での細やかな表情の移ろいをブロムシュテットが力強く描き出したことは、演奏される頻度の多くない作品であることを考えても意義深いものでした。
ところで、こうした求心力の高い演奏の背景には、年を追うごとに重量感よりも躍動感が増すという、ある意味で「長老指揮者らしからぬ」とも形容されうるブロムシュテットの音楽への取り組みがあることは論を俟ちません。
ブロムシュテットの音楽が、譜面そのものに向き合い、虚飾を取り払った後に浮かび上がるものだとすれば、研鑽や発展とは物理的な年齢とは関係なく、そのような取り組みを行おうとする意欲や意思の存する限りにおいて続くものであることが改めて実感されます。
それだけに、第1940回、第1941回と続くブロムシュテットの指揮による公演がどのような成果を残すか、興味深く思われました。
<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1939th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)
The NHK Symphony Orchestra held the 1939th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 16th October 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Brahms' Violin Concerto and Nielsen's 5th symphony. Solo violin was Leonidas Kavakos and conductor was Herbert Blomstedt.
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