東京都立青山高等学校第79回入学式における祝辞
去る4月9日(火)、東京都立青山高等学校の第79回入学式が行われました。
式の概要については本欄でご紹介した通りであり[1]、私も青山高校の同窓会である一般財団法人外苑会を代表して祝辞を述べる機会を頂戴しました。
そこで、今回は祝辞の内容を以下にご案内いたします。
なお、当日は若干字句を補ったことをご了承ください。
東京都立青山高等学校第79回入学式祝辞
ただいまご紹介にあずかりました、東京都立青山高等学校の同窓会である一般財団法人外苑会理事の鈴村裕輔でございます。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。このよき日に晴れて入学式を迎えられた新入生の皆様はもとより、ご家族、ご親族の皆様、そして青山高校の教職員の皆様におかれましても、心からお祝い申し上げます。
青山高校の同窓会は最初の卒業生を輩出した1945年に結成され、2019年10月1日にはより一層継続的で透明性の高い活動を行うためそれまでの任意団体から一般財団法人に移行しました。そして、2020年4月22日に名称を東京都立青山高等学校同窓会から外苑会に変更し、現在に至っています。
青山高校の公式ウェブサイトに「政治、経済、文化、芸術、スポーツ、芸能の各分野の第一線で活躍する3万余の有為の卒業生を輩出してきました。」とあるように、青山高校の卒業生は社会を牽引する存在として活躍しています。
外苑会は、そのような卒業生の交流を促進するとともに、在校生の皆さんがよりよい学びを実現できるよう給付型奨学金を2017年度に創設したほか、新入生の皆さんに英語教材を寄贈するといった取り組みを行っています。
さて、今皆さん体育館の壇上に目を向けると、向かって右側に校章を染め抜いた校旗が掲げられていることがご覧いただけると思います。
皆さんも制服につけている青山高校の校章は笹の葉、雪の結晶、そしてペンを組み合わせたものです。雪の結晶は雪の明かりを求めて勉学を続けた「蛍雪の功」の故事に由来し、雪の積もる学び舎を意味し、ペンは勤勉さを象徴し、笹の葉は雪の重さにも折れることなくしなやかに雪を跳ね返す強靭さと常に青々として生命力に満ちている様子を示します。
このような青山高校の校章は、勤勉さ、強靭さ、しなやかさを表現しており、青山高校が求める生徒像を象徴的に意味しています。
1940年に青山高校の前身である東京府立第十五中学校が設置された際、校章は「笹の葉に雪の結晶」でした。一方、1942年に設置され、1946年に十五中に統合された東京都立多摩中学校は、「三種の神器」をあしらった校章を用いていました。
そして、多摩中学校を吸収した十五中は東京都立青山中学校となり、十五中の笹の葉を基調としつつ、多摩中学校が用いていた三種の神器のうち鏡と勾玉を採用した、新たな校章が作られました。
さらに、1948年4月1日に学校制度の改革によって東京都立新制青山高等学校になるとともに、校章も現在の笹の葉、雪の結晶、ペンを図案化したものになります。この校章は学校名が東京都立青山高等学校となった1950年以降も変わることはなく用いられ、今日まで続いています。
校章は今皆さんが手にしている入学式の式次第だけでなく体育館の緞帳の上部に設置されている水引幕にも縫い取られるなど、これから皆さんも折に触れて目にする場面の多いものではあるものの、その由来や意味について考える機会は決して多くはないかもしれません。
しかし、校章に込められた思いは今に至るまで変わるものではありません。
これからの高校生活の中で、皆さんは様々な事柄に取り組み、挫折を経験したり失敗したりすることもあるでしょう。
もちろん、何を行ってもすべて成功するなら、これほど素晴らしいことはないかもしれません。
それでも、挫折や失敗は決して恐れるべきものでも、避けるべきものでもありません。むしろ、難しい事柄に挑むからこそ起きるのが挫折や失敗であるだけでなく、皆さんの成長の源でもあります。
もし何かに躓いたり立ちすくんだりすることがあったら、ぜひ青山高校の校章を思い出してください。そこにはあらゆる困難さに負けず、しなやかさをもって物事に取り組むことを応援する、笹の葉、雪の結晶、ペンがあります。そして、皆さんの日々の生活を支える友人や教職員の皆さん、そしてご家族がいます。
皆さんが青山高校でご自身の未来を大きく切り開き、実り多き日々を過ごされることを祈念し、私からのご挨拶といたします。
本日はまことにおめでとうございます。
令和6年4月9日
一般財団法人外苑会
理事 鈴村裕輔
[1]鈴村裕輔, 東京都立青山高等学校第79回入学式, 2024年4月9日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/95575a5304bcce1ff0d0bdc38b8e1370?frame_id=435622 (2024年4月9日閲覧).
<Executive Summary>
Congratulatory Speech for the 79th Entrance Ceremony of the Tokyo Metropolitan Aoyama High School (Yusuke Suzumura)
The 79th Entrance Ceremony of the Tokyo Aoyama High School was held on 9th April 2024 and I addressed the congratulatroy speech on behalf of the Gaienkai, the alumuni association of the high school. On this occasion I show my message to the readers of this weblog.
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