宝塚歌劇月組公演『赤と黒』
本日、15時30分から18時33分まで、御園座において宝塚歌劇月組公演『赤と黒』を鑑賞しました。
本作は下層階級の出身ながら才能に恵まれ、立身出世の野心に燃える青年の成功と挫折を描いたスタンダールの長編小説『赤と黒』に基づいており、主人公のジュリアン・ソレルとソレルの前に現れる2人の女性、すなわちルイーズ・レナール夫人とマチルド・ラ・モールとの愛の交わりにより重心を置いた作りとなりました。
主な出演者はジュリアン・ソレルが珠城りょう、レナール夫人が美園さくら、ソレルの友人フーケをコラゾフ公爵との二役で月城かなと、マチルドが天紫珠李、脚本が柴田侑宏、演出が中村暁でした。
一面において心理小説であり、他面において社会小説であり、また帝政期から王政復古期のフランスを背景とした政治小説の側面を持つスタンダールの原作を宝塚歌劇らしい人間性と愛情の物語に仕立てたこと、さらに物語の展開の細部を巧みに入れ替え、あるいは歌に筋立てを載せることで大部な小説を約2時間にまとめ上げたことで、見ごたえのある舞台となりました。
また、珠城、美園、月城、天紫ら主要な出演陣がそれぞれの役どころをいかんなく演じ切るとともに、レナール町長役の輝月ゆうまが深刻さと喜劇さを織り交ぜた難しい役柄を端然と演じ、ラ・モール侯爵の一樹千尋やピラール神父の夏美ようなどの脇役も物語を引き締めていました。
法廷での判決を受け入れ、「恋こそ我がいのち」と最期を毅然と迎えるソレルの演出も含め、後味の良い仕上がりとなったと言えるでしょう。
<Executive Summary>
Stage Review: Takarazuka Revue's "Le Rouge et le Noir" (Yusuke Suzumura)
The Tsuki Gumi of The Takarazuka Revue held a performance Le Rouge et le Noir, staring by Tamaki Ryo, based on Stendhal's Le Rouge et le Noir at the Misono-za on 15th February 2020.