ヴァンス次期副大統領は第二次トランプ政権でどのような役割を担うか

11月5日（火）に投票が行われた米国の大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ候補が民主党のカマラ・ハリス候補に勝利しました。

今後、円滑な政権移行のために大統領就任式の前に閣僚候補の指名公聴会が開催され、各省の長官が選ばれることになります。

すでに選挙中から様々な人物がトランプ氏の当選後の閣僚の候補者として取りざたされており、これから実際どのような人選がなされるか注目されます。

その中で、政権の注目すべき人物の一人が次期副大統領のジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス氏であることは間違いありません。

ヴァンス氏はそれまで徹底した反トランプ派として知られていたにもかかわらず今回の共和党大会で副大統領候補に指名され、受諾したことでその変節ぶりが批判の対象となりました。

これには、副大統領という、権力の中枢にいるように見えて実際にはある種の飾り物のような、名誉の高さと実権のなさが際立つ顕職に就くことで、自らの権力欲を満たそうとする行動であるかのように見えます。

あるいは、敵対してきたトランプ氏をより一層批判するために相手の内奥に入り込むことが不可欠であり、そのためにはいかなる批判をも甘受するという心持であえて副大統領候補を引き受けたのかもしれません。

さらに、就任時に78歳と高齢であり、米国大統領という激務にトランプ氏がどれだけ耐えられるか分からないだけに、任期中に不慮の事態が起きた際に最初に大統領職を継承できるのが副大統領であることを念頭に置いた上での措置であるとも言えるでしょう。

これは、第一次トランプ政権時にマイク・ペンス副大統領がしばしば極端な政策に傾きがちなトランプ大統領を引き留める役を担ったことを参照すると、興味深いものです。　

それだけに、ヴァンス氏が第二次トランプ政権でどのような役割を担うのか、これからの動向が大いに注目されます。

<Executive Summary>
What Is the Role for Vice President Elected James David Vance in the Second Trump Administration? (Yusuke Suzumura)

By the result of the US Presidential Election 2024, Candidate Donald Trump will form his second administration in January 2025. On this occasion, we examine the role of Vice President Elected James David Vance in the administration.