論文"Declaration of Victory: The Meaning and Achievements of the Stanford University Baseball Team's 1913 Tour"の草稿のご紹介(11)
昨年12月、ロバート・フィッツ、ビル・ナウリン、ジェームズ・フォーの各氏の編纂した書籍"Nichibei Yakyu: US Tours of Japan"の第1巻がアメリカ野球学会(SABR)から刊行され、私も論文"Declaration of Victory: The Meaning and Achievements of the Stanford University Baseball Team's 1913 Tour"を寄稿しました。
今回は、論文の日本語版草稿のご紹介の第回11目となります。
事情はスタンフォード大学側にとっても同じであった。
確かに、「菊の国において」という説明が付されたスタンフォード大学と慶應義塾の選手たちの集合写真を掲出し、一行が故国から6000マイル離れた地に赴き日本の大学と野球の試合を行い、古都京都を訪問するなど日本の文物を堪能したことは紹介されていた。
しかし、出発時には一行の動静を詳細に報じていたのに比べれば、遠征中の様子を帰国後にまとめて報じたこと[33]は、スタンフォード大学にとって、勝ち越したものの圧勝できなかった日本遠征は、大々的に取り上げる意義に乏しいものだったのである。
それでは、1913のスタンフォード大学の日本遠征は、価値のない試みだったのだろうか。勝敗のみに注目すれば、発展途上にあった日本の学生野球を圧倒できなかったという意味において、スタンフォード大学は所期の目的を達することが出来なかった。だが、野球を通した日米の友好親善という観点からは、この遠征の持つ価値は大きいものであった。
<Executive Summary>
Draft of Artcile: Declaration of Victory: The Meaning and Achievements of the Stanford University Baseball Team's 1913 Tour (XI) (Yusuke Suzumura)
My article "Declaration of Victory: The Meaning and Achievements of the Stanford University Baseball Team's 1913 Tour" is run on Nichibe Yakyu edited by Robert K. Fitts, Bill Nowlin, and James Forr published in December 2022. On this occasion, I introduce the Japanese draft to the readers of the weblog.