『ららら♪クラシック』の特集「発表!あなたが選ぶベートーベン ベスト10」が果たした大きな役割
昨日は、21時からNHK教育テレビで『ららら♪クラシック』が放送されました。
今回は放送時間を通常の30分から60分に拡大し、「発表!あなたが選ぶベートーベン ベスト10」と題し、ベートーヴェンの生誕250周年を記念して行った投票の結果を発表するとともに、ゲストである俳優の稲垣吾郎さんと音楽学者の平野昭さんを交えた座談やピアノ奏者の反田恭平さんによるピアノ・ソナタ第14番『月光』第3楽章の演奏、さらにヘルベルト・ブロムシュテットやラン・ランなどの音楽家が薦めるベートーヴェンの作品の紹介などが放映されました。司会は高橋克典さんと石橋亜紗さんでした。
視聴者による投票の結果は以下の通りでした(表記は番組の内容に基づきます)。
第1位 交響曲第9番「合唱つき」
第2位 交響曲第7番
第3位 ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
第4位 ピアノ・ソナタ第14番「月光」
第5位 交響曲第5番「運命」
第6位 交響曲第6番「田園」
第7位 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
第8位 エリーゼのために
第9位 交響曲第3番「英雄」
第10位 ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」
第11位 ピアノ・ソナタ第23番「熱情」
第12位 バイオリン・ソナタ第5番
第13番 バイオリン協奏曲
第14位 ロマンス第2番
第15位 トルコ行進曲
第16位 バイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
第17位 ピアノ・ソナタ第31番
第18位 ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」
第19位 ピアノ・ソナタ第32番
第20位 ピアノ協奏曲第4番
上位10傑の中にピアノ・ソナタが3曲、第20位まででも7曲が入り、ピアノ協奏曲、『エリーゼのために』、『トルコ行進曲』を含めるとピアノ曲が11曲と全体の過半数を占めたこと、ベートーヴェンの音楽性が凝縮された弦楽四重奏曲、特に後期の作品群が選定されていないことなどは、今回の投票の興味深い傾向と言えるでしょう。
また、交響曲第9番「合唱付き」が第1位であることはベートーヴェンの畢生の大作であることを考えればある意味で当然ながら、第2位に交響曲第7番が選ばれたことは、投票に参加した視聴者の嗜好の多様性を反映していると推察されます。
ところで、この日の番組の見どころの一つは稲垣吾郎さんと高橋克典さんのやり取りで、芸能界の第一線で活躍する俳優同士の対話は画面をひときわ華やかなものにしていました。
また、2015年以来、ベートーヴェンが交響曲第9番を生み出すまでの過程を描いた舞台『No.9 -不滅の旋律-』に主演する稲垣さんが「ベートーヴェンの音楽を生誕251年目以降も楽しんでもらいたい」と呼びかけたことは、「生誕250年」が一つの通過点であってベートーヴェンの音楽の持つ価値が色褪せることはないと力強く訴えるものでした。
『ららら♪クラシック』は視聴者が器楽・管弦楽の分野に親しむ機会を提供する、啓蒙的な番組です。
その様な番組の中でこうした意欲的な企画が行われることは、所期の目的の達成という意味でも、意義深いものであると思われた次第です。
<Executive Summary>
TV Programme "La La La Classic" Takes Remarkable Role to Celebrate the 250th Anniversary of Beethoven's Birth (Yusuke Suzumura)
A TV programme La La La Classic was broadcasted via NHK Educational on 11th December 2020. In this time they took a featured programme to celebrate 250th anniversary of Beethoven's birth.
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