石破茂内閣にわれわれは何を期待するか

本日、岸田文雄内閣が総辞職し、衆参両院の首班指名選挙の結果、自民党総裁の石破茂氏が第102代内閣総理大臣に指名されました。

新たに発足した石破内閣の顔触れは、石破首相が精通しているとされる防衛政策を側近や気心の知れた人物とともに推進するとともに、総裁選の決選投票前の演説の際に「岸田文雄総理総裁」と繰り返し強調したように、自らの政権を岸田内閣の正当な後継であると位置付けようとする試みでもあります。

また、決選投票で自らに投票した人物たちを閣僚に起用する論功行賞的人事は接戦という状況からもやむを得ないものです。

そして、党人事において小泉進次郎氏を選挙対策委員長に任命したことは当面の課題である総選挙での勝利のために国民的な知名度のある小泉氏を有効的に活用しようとするものでしょう。ただし、これまで党務に本格的に携わったことのない小泉氏が選挙に際してどの程度まで調整能力を発揮できるかは不透明である点は否めません。

あるいは、菅義偉元首相を副総裁に任命したことは、菅政権の否定として発足した岸田政権の後を継ぐという自らの位置付けを曖昧にします。

しかも、こうした人選は、これまで副総裁として岸田政権を支えて来た麻生太郎氏を最高顧問として党務の中枢か遠ざけつつも完全に排除せず敬遠していることが示すように、石破首相が強調した「自由の真実の自民党」ではなく「古い自民党」への逆行を予想させます。

こうした状況は、いずれも自民党総裁としての石破首相の党内の基盤が脆弱であり、決選投票の対立候補であった高市早苗氏の当選を阻止しようとする勢力の一時的な連合によって総裁となった結果がもたらしたものでもあります。

何より、その存念はともかく、これまでは総裁選に勝利しない、あるいは総理にならないという前提で独自色を発揮したり特徴的な政策提言を行ったりしてきたものが石破首相に他なりません。

しかしながら、石破首相には、これからは一国の首相、政権党の党首としての言動が求められます。

この時、石破氏がどこまで従来の主張を抑え、日本に住む人々の福祉と幸福を増進し、日本の国家としての利益を高めるかという観点から、現実の問題に対処できるかが重要になります。

その意味で、石破氏には現実主義者として行動することが最も重要になるのであり、党内事情を過度に考慮したり実現することを考えない一種の放言を行うようであれば、有権者はそうした態度に対して冷徹な判断を下すだけの考えを持っているのです。

<Executive Summary>
What Is the Important Thing for Prime Minister Shigeru Ishiba to Maintain the Administration? (Yusuke Suzumura)

Today Mr Shigeru Ishiba, the President of the Liberal Democratic Party, is elected as the Prime Minister at the both Diet. On this occasion, we examine the important thing for Prime Minister Ishiba to maintain the cabinet.

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