見出し画像

青山フィルハーモニー管弦楽団第9回定期演奏会の開催から30年によせて

本日4月30日、1994年4月30日(土)に世田谷区民会館において東京都立青山高等学校の部活動である青山フィルハーモニー管弦楽団(青フィル)の第9回定期演奏会が行われてから、30年目を迎えました。

この公演での演奏曲目は以下の通りでした。

ベートーヴェン/歌劇『フィデリオ』序曲(指揮:鈴村裕輔)
シュトラウス2世/皇帝円舞曲(指揮:和田義之)
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」(指揮:鈴村裕輔)
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番(アンコール、指揮:鈴村裕輔)

当時、高等学校の管弦楽団でチャイコフスキーの交響曲6番を演奏する事例は少ないものでした。

そのため、この時の公演は青フィルだけに留まらず、高等学校の管弦楽団にとっても演奏可能な曲目の範囲を広げたという点で、意義のあるものとなりました。

実際、チャイコフスキーの交響曲第6番は各楽器の演奏上の難易度の高さだけではなく、オーケストラ全体に求められる技術的、芸術的な要求も高いものです。

こうした中で一つの作品として仕上げるためには演奏者の皆さんの不断の努力が必要であり、定期演奏会での演奏曲目が決定した1993年11月以来、様々な試行錯誤が繰り返されつつ、公演当日を迎えたものでした。

ただ、公演に臨む意欲は高く、定員1202名の世田谷区民会館に対して来場者数を1000人と設定したり、1994年4月に刊行された『音楽の友』の第52巻第4号に青フィルとして初めて「チケット情報」欄に公演情報を掲載するなど、従来に比べても挑戦的な取り組みを行いました。

来場者数は目標の7割となったもののそれまでの最多となる700名を記録し、『音楽の友』へのチケット情報の掲載も翌年の第10回定期演奏会まで行われるなど、一定の成果を残しました。

また、現在の青フィルで行われている、月間の活動予定表を配布するという方法が採用されたのも第9回定期演奏会の練習の過程での出来事でした。

すなわち、それまでは1週間ないし2週間分の練習予定がパートリーダーから各パートに口頭で伝達されていたものの、練習計画の基本を1か月ごとに印刷して配布することで今後の見通しを共有し、練習の内容をより充実させることが目指された結果が、新たな手法の導入に繋がったのでした。

その後、青フィルの活動は量的、質的に一層充実し、現在では東京都を代表する高等学校管弦楽団となっています。

当時と現在とを比べればその進歩は著しいものであり、文字通り面目を一新したといっても過言ではありません。

それだけに、第9回定期演奏会の挙行から30年経った現在から当時を振り返ると、この間の青フィルの発展の軌跡の一端が垣間見られると言えるでしょう。

<Executive Summary>
Celebrating 30th Anniversary of the 9th Regular Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra (Yusuke Suzumura)

The 30th April, 2024 is the 30th Anniversary of the 9th Regular Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra (APO) in which I took a role of the Principal Conductor. On this occasion, we overview the changes of APO.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?