野党にとって自民党と協力することの意味は何か
本日、自民党と国民民主党は、両党の幹事長と国会対策委員長が10月31日(木)に国会内で会談すると発表しました[1]。
この会談では、政府が11月中のとりまとめを目指す経済対策について国民民主党の主張する政策の一部を反映させるための折衝という名目の下で、来るべき首班指名選挙において国民民主党の支持を得たり、連立政権入りや閣外協力、もしくは部分連合のための交渉もなされることでしょう。
現時点では自公両党に国民民主党を何らかの形で加えた枠組みが最も有力なだけに、明日の協議は重要な意味を持ちます。
その一方で、これまで自民党と連立を組んだ政党は1983年に中曽根政権に参加した新自由クラブ以来、公明党を除いていずれも現在では存在しません。
1994年に村山富市委員長が首相に就任した社会党、自民党、新党さきがけの三党連立政権は自民党が他党の党首を擁する形で政権に復帰した、日本の政治史上の重要な出来事ながら、新党さきがけは解党し、日本社会党も社会民主党と名称を変更し、現在では辛うじて政党要件を満たす小勢力となっています。
これに対し、自民党は2009年から2012年にかけて再び野党となったものの、その後は今回の総選挙前まで絶対安定多数を維持するなど、安定した勢力を保ってきました。
このような状況は、各党は自民党を批判することで有権者の支持を集めたり存在感を発揮してきた各党にとって、連立に入ることは自民党への批判政党という有権者の期待に背く行為であり、その代償として勢力の衰退や解党もしくは消滅に至っていると考えられます。
それとともに、政権を維持もしくは獲得するためであれば結党以来対立してきた社会党とも組むほどの貪欲さを持つのが自民党であり、その熱量が他の政党に勝ることが、連立相手の吸収や支持基盤の取り込みに繋がっていると言えるでしょう。
さらに、勢力を維持し国会議員たちを自民党から離脱させないためには利得を配分することが最も重要であり、そのために政権党であり続けなければならないという自民党が持つ構造的な特徴も大きく影響しています。
このように考えれば、新たに連立政党が加わったり閣外協力ないし部分連合を行うとして、その政党にどこまで自民党に取り込まれないだけの耐性があるかも注目されます。
[1]自民党と国民民主党、31日に幹事長会談 政策協議開始へ. 日本経済新聞, 2024年10月30日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA303W10Q4A031C2000000/ (2024年10月30日閲覧).
<Executive Summary>
What Is an Important Viewpoint to Examine the Framework of the New Coalition Government Led by the LDP? (Yusuke Suzumura)
The Liberal Democratic Party (LDP) is negotiating with opposition parties to make the coalition government to make a stable administration. On this occasion, we examine an important viewpoint to understand the framework of the new government.