【追悼文】猪口孝先生について思い出すいくつかのこと

去る11月27日(水)、国際政治学者の猪口孝先生が逝去しました。享年80歳でした。

実証的な観点から国内外の政治や経済を分析する手法は、数多くの著作や論考とともに広く人々に親しまれたものです。

私も、東京都立青山高等学校の2年生の時に学校の図書館で『社会科学入門』(中央公論社、1985年)を読んで以来、その著作に触れてきました。

そのような猪口先生については、サントリー学芸賞の授賞式と祝賀会でお姿を拝見したり、国際文化会館のシンポジウムでの国際シンポジウムでモデレーターと講演者を務められ、颯爽とした様子に接したりしたものでした。

とりわけ、サントリー文化財団の論壇誌『アステイオン』の第91号の特集「可能性としての未来--100年後の日本」に寄せられた論考「予測とは観察のことだ」は、ノーマン・エンジェル、アーノルド・トインビー、ヘンリー・キッシンジャーの予測から出発し、予測することそのものの限界と可能性を論じた示唆に富む一篇で、2002年のご著書『地球政治の構想』(NTT出版)に通じる壮大さを感じたものです。

これまで以上に先行きの見通しが混沌さを増す現在の社会において、猪口先生の持つ豊かな知性と見通しの確かさは、われわれにとって大きな指針となるはずでした。

それだけに、その長逝は大いに悔やまれるものであり、改めて猪口孝先生のご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Professor Emeritus Dr Takashi Inoguchi (Yusuke Suzumura)

Professor Emeritus Dr Takashi Inoguchi had passed away at the age of 80 on 27th November 2024. On this occasion, I remember miscellaneous impressions of Professor Emeritus Dr Inoguchi.

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