NHK交響楽団第1988回定期公演

去る6月21日(水)と22日(木)にサントリーホールにおいてNHK交響楽団の第1988回定期公演が行われ、7月1日(土)にNHK FMで第1日目の実況録音が放送されました。

今回は、前半にバッハ(レスピーギ編)の3つのコラール、レスピーギのグレゴリオ風協奏曲、後半にラフマニノフの交響曲第1番が取り上げられました。ヴァイオリン独奏は庄司紗矢香、指揮はジャナンドレア・ノセダでした。

この日の公演の最大の聞きどころはレスピーギのグレゴリオ風協奏曲で、時に会場を圧する迫力を示し、時に伴奏とともに繊細な旋律を積み重ねる庄司の演奏は、微笑みの後に懊悩する姿が現れるこの作品にふさわしいものでした。

また、バッハの3つのコラールは素朴さと華やかさを巧みに、しかも効果的に使い分けるレスピーギの編曲の妙を堪能できる1曲で、ノセダの的確な音楽作りがよく示されていました。

一方、後半のラフマニノフは概して曇りがちな表情の仕上がりとなっていました。

どの楽器も過不足なく演奏をまとめているにもかかわらず明瞭な輪郭を描き切らないまま音楽が幕を下ろしたのは、熟練の指揮者と練達の演奏者の組み合わせとしては意外な展開でした。

それだけに、この作品の初演時の評価がいかなるものであったかを考えると、興味深い結果であったと言えるかもしれません。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1988th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK symphony Orchestra held the 1988th Subcription Concert at the Suntory Hall on 21st and 22nd June and broadcasted via the NHK FM on 1st July 2023. In this time, they performed Bach's Three Chorales (arranged by Respighi), Respighi's Concerto gregoriano, and Rakhmaninov's 1st Symphony. Solo violin was Sayaka Shoji and conductor was Gianandrea Noseda.

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