【追悼文】森英恵さんについて思い出すいくつかのこと

去る8月11日(木)、ファッションデザイナーの森英恵さんが逝去しました。享年96歳でした。

森さんが戦後の日本におけるファッションデザイナーの第一人者として世界的に活躍したほか、映画の衣装やオリンピック日本選手団のユニフォーム、さらには当時の皇太子徳仁親王殿下のご成婚の際には雅子皇太子妃殿下のローブデコルテを手掛けるなど、各時代の世相や文化にも大きな影響を与えたことは周知の通りです。

こうした功績により、1996年に服飾デザイン分野で初めて文化勲章を受章したことは、日本における文化のありようをさらに広げることになりました。

ところで、森さんというと、旧制東京府立第十一高等女学校、すなわち現在の東京都立桜町高等学校の第一期生でもあります。

桜町高校が1994年度から制服を新調した際、新しい制服の衣装を担当したのが森さんであったことは、服飾デザインの分野に著名な卒業生を持つ同校ならではの取り組みでした。

緑を基調とした制服を巡りあれこれの話が持ち上がったこと、特にリボンの扱いについて種々の動きがあったことは当時から都立高校生の間でささやかな話題となりましたし、後年桜町高校の校長となった旧知の教員の方から仔細を伺う機会などがあり、制服の持つ審美的側面と生徒指導の関係という観点からも興味深く思われたものです。

蝶の意匠とともに洋服に和服的な模様をあしらい、「和洋折衷」を超える和服の普遍性と洋服の応用力の高さを示した森英恵さんのご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Ms. Hanae Mori (Yusuke Suzumura)

Ms. Hanae Mori, a fashion designer and a recipient of the Order of Culture, had passed away at the age of 96 on 11th August 2022. In this occasion I remember miscellaneous memories of Ms. Mori.

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