自民党総裁選の前日に考える「敗者たちの研究」の重要さ

明日、自民党の総裁選挙が行われます。

1972年の立候補制導入以降では最多となる9人が出馬した今回の総裁選は、第1回投票では当選者が決まらず、決選投票になることが予想されます。

ところで、野党時代を除き、1955年12月の結党以来長期にわたり総裁選の当選者が新たな首相となってきたのが自民党です。

実際、1955年12月の結党以来、1993年から1996年にかけて、そして2009年から2012年までの野党時代を除けば、自民党の総裁となることは衆参両院での首班指名選挙で当選し、内閣総理大臣になることとほとんど同義でした。

このような状況は「総理総裁」というように自民党総裁と内閣総理大臣とが並置して呼称されることからも分かります。

これまで、自民党総裁選挙に関する研究や勝者に焦点を当ててその選挙戦略などを検討する試みがなされてきたのも、総裁選挙が事実上の首相の選択の場となっているからにほかなりません。

しかしながら、従来の研究では総裁選挙の敗者について詳細な分析がなされたとは言い難いのが実情です。

確かに、権力闘争に敗れた者を分析することは、権力の所在を考える際に優先すべき事項とはなりません。それでも、総裁選挙に立候補した者たちはたとえわずかな可能性しかないとしても勝利を信じていたことも事実です。

それだけに、今後は総裁選挙の敗者の勝利への見通しや選挙戦略、あるいは具体的な選挙活動を考察すおける予想と現実の違いを明らかにすることや、敗者に共通の要素が何であったのかといった研究が本格的に行われることが期待されます。

いかなる点において総裁選挙の候補者の勝敗を分けるかを考えることは、ある意味で日本の政党政治における権力構造の一端を明らかにすることに他ならないのです。

<Executive Summary>
How Can We Do a Research for the Losers of the LDP Presidential Election? (Yusuke Suzumura)

The Liberal Democratic Party will hold the Presidential Election on 26th September 2024. On this occasion, we examine the possibility of a research focusing on the losers of the election.

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