青山フィルハーモニー管弦楽団第38回定期演奏会

昨日、14時から15時55分まで杉並公会堂において青山フィルハーモニー管弦楽団の第38回定期演奏会が行われました。

今回は、前半にブラームスのハンガリー舞曲第5番、フンパーディンクの歌劇『ヘンゼルとグレーテル』前奏曲、ビゼーの『カルメン』第一組曲及び第二組曲が、後半にチャイコフスキーの交響曲第5番が取り上げられました。また、アンコールとしてビゼーの歌劇『アルルの女』から「ファランドール」が演奏されました。

ブラームス、ビゼー、チャイコフスキーという19世紀の音楽界を牽引した作曲家と、世紀の変わり目を体験したフンパーディンクという取り合わせは手堅く、いずれも聞き応えのある作品が並びました。

そのような中で、緩急を巧みにつけることで音楽の表情を豊かに描き出したブラームス、劇的な展開の作品を、その劇的さに引き寄せられすぎることなく丹念に演奏したフンパーディンク、2つの組曲に収められた7曲のいずれも演奏者が最も滑らかに演奏できる速度が手効くに見極められたビゼー、そして伸びやかな音楽作りが印象的であったチャイコフスキーと、それぞれの作品の魅力を堪能できる仕上がりとなりました。

特にチャイコフスキーについては、2018年のブライトコプフ版の総譜が使用されたこともあり、第4楽章のコーダでシンバルが登場したという外形的な特徴のほかに、特に弦楽器が躍動感に溢れる演奏によって旋律の一つひとつがあたかも奔流であるかのような迫力を生み出すとともに、聞き手に後味の良さを与えることに成功しました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年の第35回は中止となり、それ以降第36回も中止、第37回は関係者のみの鑑賞と、過去3年にわたり定期演奏会は一般公開が出来ませんでした。

社会情勢と教育現場での新型コロナウイルス感染症への対応が変化したこともあり、4年ぶりに通常の形式での開催が実現したことは、青フィルにとっても聞き手にとっても大きな出来事でした。

そして、この間活動を継続してきた青フィルの皆さんと、青フィルの活動を支えてきた皆さんの尽力が、この演奏会に結実したことは、意義深いものです。

それだけに、第38回定期演奏会は、青フィルの歴史の上で重要な意味を持つ公演となったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The Aoyama Philharmonic Orchestra 38th Regular Concert (Yusuke Suzumura)

The Aoyama Philharmonic Orchestra held the 38th Regular Concert at the Suginami Kokaido on 3rd May 2023. On this time, they performed Brahms' Hungarian Dance No. 5, Humperdinck's "Hansel and Gretel" Prelude, Bizet's "Carmen" Suites No. 1 and 2, and Tchaikovsky's 5th Symphony.

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