「山本太郎氏の議員辞職」の持つ意味は何か
昨日、衆議院本会議において、れいわ新選組の山本太郎代表の衆議院議員の辞職を許可しました[1]。
山本氏は今夏に行われる参議院議員選挙に選挙区から出馬する予定で、自らの高い知名度を活かした議院の鞍替えによってれいわ新選組への注目を集める戦略であると考えられます[2]。
所属議員が衆参合わせて5人という小政党であり、代表の山本氏の知名度はあっても国会の議論の中で政党そのものの存在感に欠けることは否めません。
そのため、党勢の拡大のために利用し得る手法を可能な限り用いようとする山本氏の態度は、極めて現実的であり、ある意味で「弱者の戦略」として一定の妥当性を有すると言えるでしょう。
一方で、昨年10月の衆議院議員選挙に当選して国政に復帰してから半年で辞職し、議員を移ろうとすることは、議席を私し、目的のためには手段を選ばない、党利党略、個利個略に基づく行動のようにも思われます。
衆議院議員を辞職する旨を表明した4月15日(金)の記者会見において有権者の理解が得られるかが質問されたのは当然のことであり、「何のためにれいわを旗揚げしたのか理解してもらっている。裏切りにはならない」[2]という山本氏の回答は、牽強付会の域を出ません。
何より、党の基盤が強固でなければ、こうした方法によって増やせる議席に限りがあることは明らかです。
それだけに、今後、山本太郎氏とれいわ新選組がどのような道を進むのか注目されます。
[1]山本氏の議員辞職許可. 日本経済新聞, 2022年4月20日朝刊4面.
[2]れいわ山本氏、議員辞職. 朝日新聞, 2022年4月16日朝刊4面.
<Executive Summary>
Is It an Adequate Attitude?: In the Case of Mr. Taro Yamamoto's Resignation from the House of Representatives (Yusuke Suzumura)
Mr. Taro Yamamoto, the President of the Reiwa Shinsengumi, resigned from the House of Representatives on 19th April 2022. In this occasion we examine a meaning of Mr. Yamamoto's decision.