NHK交響楽団第1974回定期公演
昨日、NHK交響楽団の第1974回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。開場はNHKホールでした。
今回は、前半にブラームスのピアノ協奏曲第2番、後半にベートーヴェンの交響曲第4番が演奏されました。ピアノ独奏はハオチェン・チャン、指揮はトゥガン・ソヒエフでした。
ブラームスは、第1音目からチャンの滑らかで表現力に満ちた演奏が聞き手の注意を惹きつけて逸らさない、充実した内容でした。
しかも、協奏曲としては異例というべき、50分という演奏時間の長さはブラームスのピアノ協奏曲第2番の構成上の特徴の一つながら、そうした時間の長さを感じさせない濃密な演奏は、独奏と伴奏の絶妙な位置取りの成果であり、譜面を細部までよく把握するソヒエフの手腕がよく発揮されたと言えるでしょう。
一方、後半の交響曲は表面的な優しさの下に隠された濃密で強い生命力を秘めた音楽が持つ豊かな表情が率直に表現された演奏で、ベートーヴェンを得意とする楽団の特長がよく引き出されていました。
ところで、NHK響が、ロシアによるウクライナへの侵攻に関連してトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督とボリショイ歌劇場の音楽監督兼首席指揮者を辞任したソヒエフを招聘したことは、いわゆる「文化的制裁」と一線を画すものでした。
そして、その態度が今回の定期公演の充実した演奏に結実したことを考えるなら、3年ぶりに共演が実現したこと合わせて、楽団にとっても指揮者にとってもよりよい判断であったことが分かります。
それだけに、ソヒエフがすべて担当する今月の3回の定期公演はあと2回残っており、どのような演奏が実現するか、興味深く思われるところです。
<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1974th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)
The NHK Symphony Orchestra held the 1974th Subscription Concert at the NHK Hall and broadcasted via the NHK FM on 14th January 2023. In this time they performed Brahms' 2nd Piano Concerto and Beethoven's 4th Symphony. Solo piano was Haochen Zhang and conductor was Tugan Sokhiev.
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