トランプ候補が当選した米国大統領選挙の結果に民主党はどう向き合うべきか
今回の米国大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ候補が勝利を収めました[1]。
これにより、トランプ候補は1892年のグロバー・クリーブランド候補以来132年ぶりに連続しない2期にわたり大統領を務めることになります。
また、上下両院選挙のうち、上院では共和党が多数派を占める結果となりました。
ここで現在両党が激しく議席数を競っている下院でも共和党が多数党となれば、このままでは大統領と上下両院の多数派を共和党が制するとしてジョー・バイデン大統領に大統領選への立候補の事態を迫り、カマラ・ハリス副大統領の擁立を進めた人たちは面目を失うことになります。
もちろん、2026年の下院選挙が近付けば、知名度も集金力もあるこれら民主党の有力な支持者たちは何事もなかったかのように復権していることでしょう。
しかし、半ば引きずりおろすかのように候補者の交代を進めたことは民主党の大統領候補の当選のいかんにかかわらず、米国の政治史に一つの汚点を残すことになりました。
あるいは、こうした強引ともいえる手法が、知名度も集金力もないものの、民主政治の健全な発展を願って民主党を支持してきた一人ひとりの有権者を引き留めることに成功しなかったと言えることも事実です。
実際、私がかつてご一緒した米国人の交換留学生の中には、以前は民主党の支持者だと言っていたものの、投票日にSNSでトランプ候補を支持することを表明する人が散見されています。
もとより米国の全ての有権者のうちのごく数人でしかありませんから、その行動が例外的であることもあるでしょう。
しかし、部分が全体を代表するとすれば、勝利のためであれば規程から逸脱した措置であっても許されるという党首脳や有力な支援者の考えが今回の状況をもたらす一因となった可能性は否めません。
それだけに、民主党、なかんずく党執行部に課せられたのは、2028年の大統領選挙での勝利ではなく、いかにして勝利のためにはあらゆる手段を用いるという意味で憲政の常道を逸脱したかのような行動をとった責任を取るかということでしょう。
[1]Live election updates: Donald Trump wins US presidency. The Associated Press, 5th November 2024, https://apnews.com/live/trump-harris-election-updates-11-5-2024 (accessed on 6th November 2024).
<Executive Summary>
How Can We Examine the Result of the US Presidential Election 2024? (Yusuke Suzumura)
The US Presidential Election is held on 5th November 2024 and Candidate Donald Trump of the Republican wins US Presidency. On this occasion, we examine the result of the election and its meaning focusing on the activities of the Democrats.