古賀書店について思い出すいくつかのこと
去る12月24日(土)、神保町の古書店である古賀書店が閉店しました。
1918年の創業以来、104年にわたり総譜から専門書まで音楽に関する書籍や雑誌、資料などを網羅的に備えた古賀書店の閉店は残念ではあるとともに、オンライン書店の普及をはじめとする古書店を取り巻く経営環境の悪化を考えれば、今回の措置が苦渋の決断であろうことは容易に推察されます。
ところで、私が古賀書店を初めて利用したのは1996年のことで、当時在籍していた法政大学から徒歩15分ほどで行ける場所にあったということもあり、折に触れて店舗を訪れ、様々な書籍や資料を買い求めたものでした。
私が古賀書店で購入したものの中には、各種の総譜のほか、近衛秀麿の『オーケストラを聞く人へ』(婦人画報社、1950年)や下総皖一の『新訂版作曲法』(音楽之友社、1957年)なども含まれていました。
特に近衛の『オーケストラを聞く人へ』は、私とは幼稚園以来の友人のお父様が大変な音楽愛好家で、私が青山高校に入学して青山フィルハーモニー管弦楽団に入団した際に貸して下さった1冊でした。
その1冊を古賀書店の店頭で目にし、ところどころ酸化した表紙に手をかけたときは、大変に感慨深いものでした。
やがて12年間の学生生活を終え、そのまま大学に残った後は、仕事の時間との兼ね合いから頻繁に古賀書店に行くことは難しくなったものの、例えば学士会館や如水会館での催事の際などは店内を覗き、興味深い品があれば買い求めたのでした。
現在、私の手元にはかつて古賀書店を利用した際に購入品を入れた紙袋が数点残っています。
これからは、この紙袋が古賀書店を思い出すための手掛かりの一つとなることでしょう。
この26年にわたりお世話になった古賀書店に、改めて深謝する次第です。
<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Koga Shoten (Yusuke Suzumura)
Koga Shoten at Jimbocho is closed on 24th December 2022. On this occasion I remember miscellaneous memories of Koga Shoten.
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