大リーグの第93回オールスター戦が持つ大きな意味
現地時間の7月11日(火)、大リーグの第93回オールスター戦が行われ、ナショナル・リーグが3対2でアメリカン・リーグに勝利しました。
MVPはコロラド・ロッキーズのエリアス・ディアス選手が受賞しました。また、日本人選手としては大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)が出場し、1打数無安打1四球でした。
今回のオールスター戦はシアトル・マリナーズの本拠地Tモバイルパークが会場となりました。
そのため、始球式ではエドガー・マルティネス、ジェイ・ビューナー、ケン・グリフィー・ジュニア、そしてダン・ウィルソンと、かつての本拠地であるキング・ドームからセーフコ・フィールドへと移行した1990年代から2000年代初頭のマリナーズを支えた4選手が登場しました。
これは、野球そのものの歴史とともに、各球団や選手の歴史や歩みをも重視する大リーグならではの措置であり、1年に1試合のみ行われる「真夏の祭典」を華やかに彩りました。
また、今回、両リーグの代表選手はそれぞれマリナーズの球団の色をあしらった揃いのユニフォームを着用して試合に臨みました。
両リーグの代表が揃いのユニフォームを着用するのは2021年から3年連続です。
2021年以前は各選手が自らの所属球団のユニフォームを利用していましたから、全員が統一のユニフォームを着るということは、大リーグの新たな伝統として今後も継続することでしょう。
もちろん、オールスター戦において、自軍のユニフォームを利用せず、統一のユニフォームを着用したのは2021年が初めてではありません。1997年には、ホームラン競争用に特製の揃いのユニフォームが作られました。
あるいは、開催地の球団の色をあしらったユニフォームも2012年にカンザスシティ・ロイヤルズの本拠地カウフマン・スタジアムが会場となった際、ロイヤルズのユニフォームで利用されている水色を基調とした特製のユニフォームが作られ、ホームラン競争や記者会見の際に選手が利用したものです。
さらに歴史を遡れば、1933年の第1回オールスター戦ではナショナル・リーグが灰色地に濃紺の文字で"NATIONAL LEAGUE"と縫い取った統一ユニフォームを着用して新たな試合への意気込みの強さを示しています。
その意味で、ユニフォームの変遷を辿ることもオールスター戦の楽しみ方の一つであると言えるでしょう。
これに加えて、今回は32の国・地域で生まれた選手が選出されており、2020年以来大リーグ機構が進める「選手の多様性の強調」が実証された形となりました。
このように、第93回オールスター戦も様々な要素を織り交ぜつつ、魅力的な試合が行われたことが分かります。
そして、今から次回のオールスター戦がどのようなものになるのか、われわれの期待は高まるばかりなのです。
<Executive Summary>
The MLB All Star Game 2023 and Its Important Meaning (Yusuke Suzumura)
The 93rd All Star Game of the Major League Baseball was held at the T-Mobile Park on 11th July 2023. On this occasion, we examine the meaning of the Midsummer Classic.
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