NHK交響楽団第1953回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1953回定期公演が行われ、NHK FMでの実況中継を鑑賞しました。会場はサントリーホールでした。

今回は、前半にブリテンの歌劇『ピーター・グライムズ』から「4つの海の間奏曲」、バーバーのヴァイオリン協奏曲、後半にエルガーの変奏曲『謎』が演奏されました。ヴァイオリン独奏は金川真弓、指揮は尾高忠明でした。

この日の聞きどころは近年活躍が著しい金川の演奏でした。

2021年4月4日にNHK FMで放送された『リサイタル・パッシオ』に出演し、リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタの第1楽章など3曲を鷹揚とした雰囲気で演奏した金川は、今回も悠揚迫らざる様子でバーバーの協奏曲を情感豊かに弾きました。

また、ブリテンとエルガーは、英国の作曲家を得意とする尾高の分析的な指揮ぶりが活かされ、ともすれば抒情的、耽美的にいなりがちな音楽を引き締め、陰影に富みつつも惰性に流れない演奏に仕上がりました。

さらに、NHK響が特徴の一つである音量の大きさを発揮したことも、この日の演奏をより印象深いものにしました。

パーヴォ・ヤルヴィとヒラリー・ハーンが新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外国人の入国の制限などにより来日できなかったことを受け、代役として登場したのが尾高と金川でした。

2人がそれぞれの持ち味を示したことで、本来の姿とは異なるとはいえ、今回も新たな魅力を備えた公演になったと言えるでしょう。

<Executive Summary>

Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1953rd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1953rd Subscription Concert at the Suntory Hall on 16th February 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Britten's Four Sea Interludes from "Peter Grimes", Barber's Violin Concerto and Elgar's Variations on an Original Theme "Enigma". Solo violin was Mayumi Kanagawa and conductor was Tadaaki Otaka.

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