NHK交響楽団第1964回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1964回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。会場はサントリーホール大ホールでした。

今回は前半にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、後半にブラームスの交響曲第2番が演奏されました。ヴァイオリン独奏はジェームズ・エーネス、指揮はファビオ・ルイージでした。

ベートーヴェンは艶やかさと円やかさを備えた、構の大きなエーネスの独奏を伴奏が手堅く支え、時に滑らかで時に濃厚な演奏が生み出されました。

また、ほぼ一つに集約できる動機の巧みな操作によって有機的に展開するブラームスについては、堅牢な構成を持つ作品を求められるままに演奏し、しかも打楽器が勘所を抑えていたことで、聞き手の注意を逸らさない音楽が仕立てられました。

2022/2023年の楽季の冒頭を飾る3回6日間の公演は、ルイージの首席指揮就任記念の演奏会でした。

第1962回は歌劇と交響管弦楽のいずれの分野でも十分な実績を残してきたルイージが満を持して臨んだヴェルディの『レクイエム』、第1963回はルイージが得意とする作曲家の一人であるリヒャルト・シュトラウス、そして今回が楽団も指揮者、そして聴衆にとっても馴染み深いベートーヴェンとブラームスと、両者の持ち味の活かされた曲目が揃いました。

「生まれはイタリアだが主な活躍の場はアルプスの北側」とも称されるルイージは、前任のパーヴォ・ヤルヴィがNHK交響楽団と実現した、作品の構造を的確に捉えつつその内奥に迫り込むという演奏の方法をさらに進め、新たな境域を開拓することが期待された、一連の公演であったと言えるでしょう。

これからのルイージとNHK交響楽団の演奏活動が期待されます。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1964th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1964th Subscription Concert at the Suntory Hall on 21st September 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Beethoven's Concerto and Brahms' 2nd Symphoyn. Solo violin was James Ehnes and conductor was Fabio Luisi.

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