【追悼文】村田兆治さんについて思い出すいくつかのこと
今日、プロ野球の東京オリオンズとロッテオリオンズの投手であった野球解説者の村田兆治さんが逝去しました。享年72歳でした。
村田さんが、投球時に左足をおもむろに高く蹴り上げ、大きく踏み込みつつ右腕を勢いよく振り下ろす独特の方法を編み出して多くの三振を記録し、後に野球殿堂入りを果たしたことは、「マサカリ投法」という名称とともに広く知られるところです。
また、1982年に肘を故障すると、翌年に渡米してフランク・ジョーブ氏の執刀により左腕の腱を右肘に移植する、いわゆるトミー・ジョン手術を受け、1984年に復帰してから1990年に引退するまで2桁勝利を3回達成し、1989年には最優秀防御率を記録したことは、従来投手が肘の手術をすると復活は難しいとされてきた日本球界にとって画期的な出来事でした。
ところで、私が村田さんの投球の様子をテレビ画面を通してではなく、球場で実際に目にしたのは、1986年8月17日(日)のことでした。
すなわち、夏休み期間中ということで、父とともに後楽園球場に行き、ファイターズとオリオンズの1戦を鑑賞した際、オリオンズの先発として登板したのが村田さんでした。
手元の記録によれば、この試合で村田さんは5回を投げて被本塁打2本、自責点5で降板しています。それでも、5つの三振を記録したことや、オリオンズの落合博満選手が33号本塁打を放ったことなどは見ごたえのある場面で、最終的にオリオンズが11対7でファイターズに勝利したのも、印象的でした。
その後は、私の野球の観戦の機会と村田さんの登板の間隔とが合わなかったため、この日の試合が、私にとって村田さんが公式戦で投球する姿を実際に接した、最初で最後の機会となったのでした。
それだけに、この試合は、今も私にとって鮮やかに思い出されるものであり、感慨深い体験となっています。
一時代を画し、球史に残る大選手である村田兆治さんのご冥福を改めてお祈り申し上げます。
<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Mr. Choji Murata (Yusuke Suzumura)
Mr. Choji Murata, a former pitcher of the Tokyo Orions and the Lotte Orions and a member of Japanese Baseball Hall of Fame, had passed away at the age of 72 on 11th November 2022. On this occasion I remember some memories of Mr. Murata.