大リーグの第92回オールスター戦はいかなる価値を発揮したか
現地時間の7月19日(火)、大リーグの第92回オールスター戦が開催されました。今回の開催地はロサンゼルス・ドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムで、アメリカン・リーグがナショナル・リーグを3対2で破り、9連勝しました。
今回は19世紀のゴールド・ラッシュによって大きく発展し、「黄金の州」(Golden State)の愛称を持つカリフォルニア州で開催されることにちなみ、先攻のアメリカン・リーグが黒地に金、後攻のナショナル・リーグが白地に金で球団名やロゴマークが縫い取られるという趣向が凝らされました。
こうした取り組みは年に1度、球界を代表する選手がそれぞれのリーグの名誉を担って行われるオールスター戦にふさわしい取り組みと言えるでしょう。
それとともに、試合の開始に先立ち、俳優のデンゼル・ワシントンさんが、1947年4月15日にジャッキー・ロビンソン選手がブルックリン・ドジャースの一員として大リーグの公式戦に出場したこととそれ以降の事績を称賛したことは、球界における「人種の壁」が克服されてから75年目という節目にふさわしいものでした。
特に、2020年以降黒人リーグの公式記録化や黒人野球の記録の整備を進める球界としては、昨年のオールスター戦で同年1月に逝去したハンク・アーロンの功績を讃えたことに続き、目に見える形で過去の記憶の掘り起こしが行うことの意味は大きいものです。
あるいは、試合開始直前にオールスター戦に臨んでの心構えを聞かれて「初球を全力で振りぬきます」と答えた大谷翔平選手が、1回表にナショナル・リーグの先発投手であるクレイトン・カーショー選手の初球を強振して安打としたり、4回表にジャンカルロ・スタントン選手が2点本塁打を放って同点に追いつくなど、試合そのものも見ごたえのある内容であったことは、「真夏の伝統の一戦」(Midsummer Classic)という別称を体現する場面でした。
もちろん、出場を辞退する選手が絶えないこと、テレビ視聴率の低迷など、オールスター戦が抱える構造的な問題は依然として解決されないままです。
それでも、今年のオールスター戦は、改めてその意味と価値とを示す、大きな役割を果たしたと言えるでしょう。
<Executive Summary>
What Is a Meaning of the 92nd MLB All-Star Game? (Yusuke Suzumura)
The 92nd MLB All-Star Game was held at the Dodger Stadium on 19th July 2022. In this occasion we examine a meaning of the Midsummer Classic.