第49回衆議院議員選挙の公示に際してわれわれは何を望むか
本日、第49回衆議院議員総選挙が公示され、10月31日(日)の投開票日まで12日間の選挙戦が始まりました。
岸田文雄政権下で行われる最初の総選挙では、各党諸派が国民の福祉と国家の利益の増進のために最善を尽くすべく、それぞれの政策を掲げて有権者に信を問うことが期待されます。
有権者にとって目下の最大の関心事は新型コロナウイルス感染症対策ではあるものの、「対策はしない」という選択肢は事実上あり得ません。
このように考えれば、実際にはどのような対策をどの程度まで行うかという点が問われるのであって、対策の有無そのものが争点となることはありません。
従って、今回の総選挙では、各党諸派の「コロナ対策」以外の政策が慎重に検討されなければなりません。
一方で、いずれも自らの主張を正当化させるために敵対する勢力を故意に貶めるかのような態度をとることは、厳しく戒められる必要があります。
例えば、立憲民主党の枝野幸男代表が今回の解散を「逃げ恥解散」と称したこと[1]は、解散の「大義」を問うという側面はあるものの、この表現の典拠となる漫画作品とテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の「役に立つ」という箇所を故意に欠落させているという点で感心できるものではありません。
また、自民党の甘利明幹事長が、立憲民主党や共産党を中心とする野党が政権を獲得すれば政府の意思決定に自衛隊や天皇制に否定的な共産党の考えが入ってくるとして、今回の総選挙を現行の体制の維持か変革のいずれを選ぶかという「体制選択選挙」であると指摘したこと[2]も見逃せません。
何故なら、共産党が党独自の政策や立場を政権に持ち込まないと言明し、立憲民主党も共産党との内閣提出法案の事前審査は行わないとしている点を考えれば[2]、現時点では妥当性を欠く非難の域を出ないからです。
こうした正確さの足りない引用や不適切な批判は議論の正当性を損なうだけでなく、有権者の顰蹙するところでもあります。
それだけに、各党諸派、さらに一人ひとりの立候補者には、法令を遵守するとともに節度をもって選挙戦を行うことが期待されます。
[1]衆院解散 総選挙へ. 朝日新聞, 2021年10月14日夕刊1面.
[2]「立共協力」巡り応酬. 読売新聞, 2021年10月18日朝刊2面.
<Executive Summary>
What Do We Want to the Political Parties and All Candidates on the Campaign for the 49th General Election? (Yusuke Suzumura)
Today the 49th General Election is announced and the campaign has just begun. In this occasion we require them to do a honest and correct campaign.
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