NHK交響楽団第1970回定期公演

昨日、サントリーホール大ホールにおいて、NHK交響楽団の第1970回定期公演が行われ、NHK FMが実況中継を行いました。

今回は、前半にヴォーン・ウィリアムズの『「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント』とメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、後半にヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番が取り上げられました。ヴァイオリン独奏はレイ・チェン、指揮はレナード・スラットキンでした。

今年10月12日に生誕150年を迎えたヴォーン・ウィリアムズは、英国を代表する作曲家の一人であり、南極交響曲をはじめとする9つの交響曲や様々な管弦楽曲によって広く知られる存在です。

その一方で、日本における演奏の蓄積は決して多くはなく、各団の日常的な活動の基礎となる定期公演や定期演奏会で取り上げられる機会はさらに少ないというのが現状です。

従って、生誕150年という節目の年に際して各地の団体がヴォーン・ウィリアムズの作品を定期演奏会の中に取り入れることは、その音楽を聞き手により幅広く伝えるために重要ですし、斯界を牽引するNHK響が定期公演で演奏することも、意義深いものです。

この日の指揮者であるスラットキンは、かつてフィルハーモニア管弦楽団とヴォーン・ウィリアムズの交響曲全集を録音した経験があり、セントルイス交響楽団とその他の管弦楽曲を積極的に音源として残してきました。

そうした組み合わせもあってか、今回は譜面の細部まで入念に読み込み、色彩感に富んだ『「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント』と、一つひとつの旋律を丁寧に仕上げた交響曲第5番とが生み出されました。

また、メンデルスゾーンについては、躍動感と緻密さを兼ね備えたチェンの演奏が、よく知られた作品をより一層華やかなものにしました。

このように、今回も井上道義が伊福部昭の『シンフォニア・タプカーラ』を取り上げた第1968回、スラットキンがコープランドを特集した第1969回と同様、意義深い公演になったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1970th Subcription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1970th Subscription Concert at the Suntory Hall and broadcasted via the NHK FM on 23rd November 2022. In this time they performed Vaughan William's Five Variants of Dives and Lazarus and 5th Symphony and Medelssohn's Violin Concerto. Solo violin was Ray Chen and conductor was Leonard Slatkin.

いいなと思ったら応援しよう!