NHK交響楽団第1958回定期公演
昨日は、NHK交響楽団の第1958回定期公演をNHK FMの実況中継により鑑賞しました。会場はサントリーホール大ホールでした。
今回は、前半がメンデルスゾーンの序曲『静かな海と楽しい航海』とラヴェルのピアノ協奏曲、後半がリムスキー・コルサコフの交響組曲『シェエラザード』でした。ピアノ独奏は小菅優、指揮はファビオ・ルイージでした。
この日の圧巻はラヴェルで、モーツァルトやベートーヴェンの古典的作品からタン・ドゥンの新作までNHK響と様々な作品を共演してきた小菅が抒情性のある節回しと正確な打鍵の巧みな使い分けにより、作品の輪郭を一層鮮やかに描き出しました。
とりわけ第2楽章の独奏は小菅の持ち味がよく活かされ、張り詰めた雰囲気の中にもえくぼの見えるかのような演奏は、聞き手の注意を惹きつけて離しませんでした。
また、第3曲目のリムスキー・コルサコフは篠崎史紀の艶やかさと滑らかさを持った独奏が頂点をなす演奏で、通俗名曲の代表的作品を奇を衒うことなしに後味よく仕上げることに成功していたと言えるでしょう。
メンデルスゾーンの端正な演奏も含め、独奏との距離を保ちつつ作品を練り上げるファビオ・ルイージの指揮は説得力があり、前回の公演に続き、今年9月に首席指揮者に就任した後にどのような音楽を生み出すかに期待を抱かせるものでした。
<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1958th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)
The NHK Symphony Orchestra held the 1958th Subscription Concert at the Suntory Hall on 25th May 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Mendelssohn's Calm Sea and Prosperous Voyage overture, Ravel's Piano Concerto, and Rimsky-Korsakov's Scheherazade. Solo piano was Yu Kosuge and conductor was Fabio Luisi.