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♯02パッケージについて考えてみる - 水 -

こんにちは。ユウスケです。今回のテーマは「 水 」。
ここでは"THINK PACKAGE"と題してパッケージデザインの観察をしていこうと考えています。

ひとつの製品だけを取り上げた観察ではなく、市場に並んでいる競合製品を見比べ、相対的に観察することでより深く掘り下げることができるのでは?という考えのもと作成しています。

水の市場について

身体に欠かせない「水」。本当に数多くの種類が市場に存在しています。
今回はその中でも「天然水」をメインに、製品は自販機などでも見かけるものを中心に選びました。
価格.comでミネラルウォーターのランキングを見てきたところサントリー、キリン、ネスレ、コカコーラが上位に上がっていました。

サントリー → 南アルプスの天然水を中心としたサントリー天然水
キリン → アルカリイオンの水、晴れと水シリーズ
ネスレ → コントレックス(今回は取り上げていません…)
コカコーラ → いろはすシリーズ

輸入製品や炭酸水も加わり、そのラインナップはとても幅広いです。
そこでどのような基準で製品を選ぶのか、基準となり得そうな要素をピックアップしてみましょう。

飲料としての水にはどんな違いがあるのか

飲料水を選ぶ際には一体なにを基準にして選ぶのでしょうか。
基準を考えてみることでユーザに訴求すべき要点を明らかにできそうです。

「安心と安全」:採水地やどこ由来のものなのか保証する要素があることで安心して手にとることができそうです。

「容量と価格」:コスパも重要なポイントになりそうです。容量はボトルのサイズや重量、飲用シーンに影響を与えますね。

「軟水と硬水」:今回取り上げる中ではエビアンが唯一の硬水です。水や無糖炭酸水などは味の方向性に大きな違いがない分、色々試すというよりは一度馴染んだ同じ製品を買い続ける傾向にありそうです。

それでは以上を踏まえ、各パッケージを改めて見ていきましょう。

コカ・コーラ い・ろ・は・す

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グリーンとホワイトのシンプルなデザインが特徴のい・ろ・は・す。
あまりパッケージ本体で語らない印象があるコカコーラの製品です。シンプルながらグリーンが他の製品との差別化にとても効いています。
落ち着いたレイアウトのイメージながらも細かい要素で情緒を演出し無機質さを感じません。
味だけではなくエコの観点からの新しい切り口、潰したボトルのビジュアルは鮮烈です。コカ・コーラというグローバル企業ならではのアプローチ、お手本のようなデザインです。

サントリー 天然水

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山を中心に広がる自然の景色が特徴のサントリー天然水。
「水と生きる」
を掲げるサントリーが販売する天然水という背景があり自然によって育まれた水という空気感が伝わってきます。
ビールやウイスキーと他の製品にも展開している「天然水」ただの1製品ではなくサントリーを支える屋台骨のようなブランドと言えそうです。
どっしり安定感のあるデザインからロングブランドたる由縁を感じます。

キリン 晴れと水

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雑貨のようなおしゃれな雰囲気が特徴のキリン、晴れと水。
他製品と比べ、明らかに若い年齢層をターゲットにデザインされています。外で持ち歩くことが多くなるであろう水のパッケージにはファッションのような「もっている自分」を意識する側面もありそうです。
リニューアル前と比べ、水としての素性を大きく前面に出していることから水としての認知、保証が市場ではどれだけ重要なウエイトを占めているかが伺えます。

アサヒ おいしい水天然水

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スタンダード、分かりやすさが特徴のアサヒ、おいしい水天然水。
水としてのスタンダードさを追求したデザインと言えそうです。分かりやすく特徴的な水のロゴ、ラベルの強い水色によって売り場での視認性を担保しています。
もともとはハウス食品から販売されていた製品の生い立ちや名称の変更など複雑な経緯を辿っている製品。

ダノン evian エビアン( 日本での販売元 / 伊藤園 )

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シンプルな強さと柔らかさ、色使いが特徴のevian。
ロゴタイプや余白、空間の使い方のレベルがとても高く、海外の製品ならではのスタイリッシュさを持っています。
水からは想起しづらい、レッドとピンクをメインに置くことでシンプルなモチーフを使いつつもとても強いパッケージデザインになっています。
また抑えられた柔らかいトーンからはナチュラルさを演出し女性をメインターゲットにしていることが伺えます。プロモーションでもカッコいい女性像を打ち出していますね。

ダノン Volvic ボルヴィック( 日本での販売元 / キリン )

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要素を極限まで削り、研ぎ澄ますことで強さを引き出したVolvic。
山のイラストを最大限にシンボルとして活用しブランドを押し出したデザインです。
製品が多く存在する中で過去のパッケージを見ると一般的な自然の水ということしか読み取れないデザインでしたが、ボルヴィックがもっている価値、「火山」を活用することによりブランドとしての独自性を強く打ち出しています。
平坦だった印象のカラーグリーンに比重を置き、コントラストを強くすることで奥行きが生まれ、立体感が出ています。
リニューアルデザイン、ブランド構築のお手本のようなデザインと言えそうです。

まとめ ”水のデザインはブランド構築が最重要”

一般の人に訴求できるレベルで中味の差異が分かりにくい”水”
そこで大切なのがブランド構築、どのような存在の水なのかということ。

美味しいだけでなくエコの観点から訴えかける"いろはす "
自然の恵みである水を伝える”サントリー天然水”
日常に寄り添った気持ちに訴える”晴れと水”
おいしい水である事を真摯に伝える”おいしい水天然水”
ナチュラルでスタイリッシュなライフスタイルを演出する”evian”
確固たるアイデンティ、自然と火山を伝える”Volvic”

同じ水のパッケージデザインでもこれだけの変化に富んだメッセージを伝える製品が出来上がっています。

デザインを作る際にも他の製品以上に、「どのような出自を持つのか」他とは何が違うのか」「なにがしたいのか」という水そのものの掘り下げが重要になってきそうです。

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これらはデザインを個人的に観察したものです。
実際のコンセプトや正解を書いている訳ではありませんのでご注意下さい。
デザインを行う際の参考、パッケージデザインに興味を持つきっかけになれば良いと考えています。

画像出典 それぞれ公式サイト、ニュースリリースよりお借りしています。
コカ・コーラ https://www.cocacola.co.jp/home/
サントリー https://www.suntory.co.jp
キリン https://www.kirin.co.jp/
アサヒ https://www.asahiinryo.co.jp
エビアン https://www.evian.co.jp/

参考
Landor https://landor.com/ja/
日経xTREND 番人が明かす「サントリー天然水」パッケージデザインの秘密
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00186/00004/?P=1

📖前回記事も併せてご覧いただけたらうれしいです!😇


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小林 ユウスケ | package designer
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