見出し画像

♯05パッケージをくらべてみる|エナジードリンク

ご無沙汰しています。だいぶ間が空いてしまいした。

noteを初めてから1年半の間にコラムの連載をもったり、
配信に参加したりとさまざまな出来事がありました。

こういった機会に恵まれたのもひとえに、皆様のおかげです。
本当にありがとうございます🙇‍♂️
この場を借りてお礼を言わせてください。

そしてこの空いたタイミングを利用してタイトルを変更しました。

『パッケージをくらべてみる』

どういった内容なのかもう少し分かりやすい形になったように思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。

さてここからが本題です。
今回比較するパッケージは、エナジードリンク。
いまや多くの人々に浸透し、飲料のひとつのカテゴリーとなっています。
そして国内ブランドと海外ブランドともにユニークな商品が数多く存在します。

まずはそもそもエナジードリンクとはどういったものをさすのか、
少し調べてみましょう。

エナジードリンクの定義

エナジードリンクについては法律などでの明確な定義・基準はありません。
現在、日本では、カフェインやアミノ酸、ビタミンなどの成分が入った炭酸飲料を「エナジードリンク」と称すことが多いようです。 清涼飲料水ですので、「滋養強壮」などの効果効能を訴求することはできません。
一般社団法人 全国清涼飲料連合会Q&Aより )

意外にもエナジードリンクに明確な定義は存在しないようです。
漠然と元気がでそうな感じ、頑張れそうな感じで感覚的には栄養ドリンクに近い形で認識している人も多いのではないでしょうか。

(エナジードリンクの効果に関して検証している論文があります。記事の最後にリンクを記載しますので、興味が湧いた方はどうぞ)

思い返してみると、パッケージや広告などで飲用シーンや世界観を伝えてはいるものの、具体的な効能を訴求している商品は見かけませんね。

この『具体的なことは語らずに効能感を表現し、世界観に惹き込む』という部分はヴィジュアル制作、ブランド構築ともに学びがありそうです。

各ブランドのタグラインと合わせてパッケージを見てみましょう。
(今回は文章が長めなので、挿絵を眺めて頂くだけでもいいかもしれません。解釈の参考までに必要に応じて文章にも目を通して頂ければと思います。)

◯ RedBull|Red Bull GmbH

画像7

レッドブル、翼をさずける。
紺とおあふぁふぁ、そして赤の差し色と配色が特徴的なRedBull。紺の地に赤文字と文字を読ませるというよりは配色による識別性、ブランドカラーを強く押し出しているのが分かります。
またフレーバー展開の際にはデザインが異なります。本体のイメージをブラさないことで、ブランドに一本の筋を通しているのかもしれません。
缶本体に注目してみると、ギラついた缶地はオイル缶のようでエナジー感を強めています。そしてエナジードリンク市場を切り拓いたレッドブルの"細身のロング缶"はエナジードリンクの記号のひとつとして浸透しているのではないでしょうか。

◯Monster Energy|アサヒ飲料(日本国内)

画像6

野生を解き放て
黒地に蛍光グリーンが象徴的なモンスターエナジー。爪痕のシンボルは力強い存在を感じさせつつ頭文字のMも表しています。また下部では"ENERGY"の表記が四角いプロポーションのサンセリフ書体によって押さえられています。これによって全体が遊び過ぎずに全体を締める大切な要素のひとつに感じます。
シンボルが全体の半分以上を占めるのはとても印象的です。これによって缶そのものがアイコンのような機能を果たしています。
またフレーバー展開の際に色を変えた場合でも、その存在感が揺らがない大きな要因となっていそうです。
基本レイアウトを維持したままなので、複数のフレーバーが並ぶ売り場では面の強さが際立ちますね。

◯ZONe|SUNTORY

画像7

無敵のゾーンへ。
500mlという大きな缶が特徴のZONe。
缶蓋も黒くすることで、黒い塊としての存在感を感じます。黒地に白の無機質な要素の印象から、まるで電化製品のようです。
全体の無機質さによってシンボル周りの有機的な部分が映えますね。ZONeのeが小文字の字形なのはシンボルとのリンクを強める目的でしょうか。
食品でver表記というのなかなかユニークですよね。また裏面の図やPOSなどの細かい部分まで手が加えられており、ブランドの世界観を演出しています。

◯RAIZIN|大正製薬

エナジードリンクまとめ-05

Be smart. Be creative.
シンボリックな図形が特徴的で新鮮なヴィジュアルのRAIZIN。
そのキャッチコピーが示すように長体気味のサンセリフ書体を中心に図形のシンボル、たっぷりとした余白は知的な雰囲気を感じます。
シンプルな構成ですが、鮮やかな色使いによるシズル感、左右非対称の図形によるシンボルがあることで動きが生まれています。

◯CHILL OUT|Endian

画像7

「 チルする? 瞬間リラクゼーションドリンク」
エナジードリンクとは違う文脈、逆方向のコンセプトなので加えました。こちらはリラクゼーションを掲げており、静的なレイアウトになっています。艶消しのしっとりとした缶地がシズリますね。要素が少ない分、シンボルの役割も果たしているロゴが特徴的です。Hの部分は蓋をあける指のシルエットとも思ったのですが、波のゆらぎでしょうか、また低彩度のニュアンスのあるグリーンは静寂で穏やかな印象を受けます。

各ブランドをマッピング

エナジードリンクまとめ-06

今回メインで取り上げた製品以外にも同じカテゴリーで見かけるものも合わせてマッピングしました。横軸は効能感のイメージ、肉体的か精神的かで設定。縦軸では訴求している飲用シーン、仕事でのパフォーマンスか日常の活力なのか、という形で設定しました。
並べてみると、とてもバラエティーに富んだヴィジュアルです。
他の商品カテゴリーと比べて歴史が浅く、実体がそこまでないと言うこともあり、新しいものを構築しやすい環境なのかもしれません。

"カルチャー"と結びつけるブランド戦略

エナジードリンクまとめ-07

エナジードリンクといえばスポーツやゲーム、アーティストといった業界のスポンサードの話は外せません。メジャーなスポーツではなく、まだ成長の余地が大きいメインストリームではない競技や文化を盛り上げるパートナーのような立ち位置によって拡大していく戦略も新興のカテゴリーならではの戦略に思います。
(マーケティング関連の詳しくまとめられている記事を最後にまとめていますので、そちらをご覧いただければと思います。)

最後に

全体の消費量は減っているような話もありますが、日用品とも嗜好品とも少し違うアングラ感のある独特で魅力的な世界観は熱狂的なファンを虜にし続けるように思います。今後の変化を見ていきたいカテゴリーです。

今後の新興カテゴリーを予想すると、アルコールの代替という形ではない微アルコールまたはノンアルコールがこれから開拓されていきそうな気がします。
アサヒの「ビアリー」、そして六本木のノンアルコールバー「0%」をみると一般層に降りてくるまでにはまだ時間がかかりそうですが、アルコールでもソフトドリンクでもないその世界観は次の潮流かもしれません。

それでは最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
取り上げて欲しい商品カテゴリーや感想などございましたらお気軽にメッセージ頂ければと思います。
また次回!🏃‍♂️三

参考記事

ー ブランド公式web 
RedBullMonster EnergyZONeRAIZINCHILL OUT 】
※記事内の画像は各社プレスリリースよりお借りしています


いいなと思ったら応援しよう!

小林 ユウスケ | package designer
👳‍♂️タイセツニツカウヨ