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『Chileren of the Sun』感想:複数の敵を一撃で仕留める”スナイパーFPS×一筆書きパズルゲーム”
スナイパーゲームかと思ったら、頭を使うパズルゲームでした。
でも、一筆書きを考えるというシンプルな構造が、スナイピングを加えるとこうも彩り豊かになるのかと驚き。気がつけばクリアしていました。
ストーリーは薄め。
セリフは無く、イラストのアニメーションでなんとなく話が分かる形です。少女がカルト教団への復讐のために、銃でその教団員を殺しまくる、それだけ理解しておけばOKです。
このゲームの最大の特徴、それが「狙撃とパズルを融合させた」という尖りまくったシステムです。
ステージごとに攻略していく仕組みなのですが、各ステージが始まったら、まずスナイパーとして撃つ場所を決めます。マウス操作で、右か左に動き、敵を撃つ場所を決めます。
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撃つ場所を決めたらいざ射撃。
手ブレなどはないため、じっくり狙うことが出来ます。
そして発射。
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敵に命中すると、1発で倒すことが出来ます。
ここまではまあ、よくあるスナイピングなゲームですね。
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ここからがこのゲームの特徴です。
仕留めた敵の位置を起点として、別の敵を狙います。
これを繰り返し、ステージにいる敵を全滅させるのです。
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これは超能力なのかなんなのかわかりませんが、とにかく1発の弾丸がピンボールのように次々と角度を変えて敵を仕留めます。
最終的に、ステージをクリアすると弾丸の軌跡が表示されます。
一筆書き。
このゲームは、特定の位置にいる敵を全員、一筆書きで倒していくゲームなのです。
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ゲームの雰囲気も相まって、なかなかの緊張感がある中の狙撃から始まり、そしてそこから別の敵を連鎖的に攻撃していく。
一筆書きが成功したときはなかなかに気持ちが良いものとなります。
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最初のうちは比較的簡単。見通しの良いマップで、次々に敵を狙撃していきます。しかし当然、これはステージが進むごとにクリアへのハードルが上がっていきます。
プレイヤーは最初の狙撃位置から全ての敵を見通せるわけではありません。
直接狙えない場所……例えば建物の中や障害物を隔てた向こう側、つまり最初の狙撃位置からは射線上に入らない位置。そんなところにいる敵を倒さないといけなくなってきます。
ここで、一筆書きの要素がより強く求められるのです。
最初の位置から見えない、建物の中に敵がいる場合。いわゆる壁に囲まれた袋小路の場所にいる敵を倒そうとしたら、何人も敵を倒し、上手い具合に射線に入れて倒す。これが基本です。
一方で、例えば袋小路の外側に敵が残っているのに、その袋小路にいる敵を倒してしまったら。そこから先、壁に阻まれて射線はどこにもいけません。詰み、になってしまうのです。
どの敵をどの順番で狙うか。この推理を基本とし、失敗するたびにステージを繰り返し、解法を見つけます。先ほどの袋小路の例で言えば、発射した弾丸の行き場がなくなる袋小路の敵は最後に仕留める敵になるよう、考えて射撃しないといけません。
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ただのスナイパーゲームではなく、メインは一筆書きのパズル要素。
後半になれば、例えば車に乗っている敵を狙わないといけないとか、銃弾を加速させないと倒せない(=ある程度距離のある場所から狙撃しないといけない)敵が出てきたり、防御する盾を持っている(=敵を狙う角度を考えないといけない)敵が出てきたり、はたまた銃弾を曲げる超能力がある敵が出てきたりと、考慮すべき要素が多数発生し、難易度を上げてきます。
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しかし、それでも最後までプレイできたのは、これがやはりパズルゲームのみの要素ではなく、能動的に、そしてプレッシャーを感じる「狙撃」という要素が加わっているからでしょう。
何より世界観というか空気感も素晴らしい。決して甘えの無い、ダークでどこか沈痛な雰囲気も、ゲームへの没入を高めます。敵を倒したときに、出る鮮血ももはや美しい。
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ただただ、ターゲットの位置を一筆書きでなぞるゲームだったらさほど面白くないとは思います。しかしそこに狙撃という要素と暗い雰囲気という要素を加えた結果、システムはパズルでありつつ体感はほぼFPSという工夫が、このゲームの評価を高めた一因であると思いました。
パズルもFPS(狙撃)も、少なくとも日本ではRPG等に比べて人を選ぶゲームだと思いますし、特にインディーなので粗いところ(ストーリー、バランスなど)も無いわけではありません。しかし、それでも悪魔合体のようにそれぞれの要素が鬱々と組み合わさったダークな本作。
興味がある方はぜひ遊んでみてください。
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