外研はいいぞぉ~の話
”研究室配属,自分が心の底からしたいって思えるようなわくわくする研究をしたいなあ.でも,自分の学科に設置されている研究室ごとのテーマを見てるだけだと,あんまりぴんと来ないなあ.入る大学,学部,学科間違っちゃったかなあ,,てか,そもそも自分がやりたいことって何なんだろうなあ,,”
このような葛藤,学部生のうちに一度や二度あるんじゃないでしょうか?(学部1年生の時、僕はほぼ毎日していた)そんなよくわからん中で,自分のしたい研究を考え,研究室を決めるって難しいですよね.僕の経験をもとに.行動の仕方とか.自分なりの研究室選びに対するやり方のようなものを共有できたらいいなあと思い.ここにつらつら書きました.
(2024年 4月に加筆修正してます)
1,学科の研究室だけって寂しいよね
自分が学部生時代に所属していた学科には12個の研究室があり,それぞれの研究室特有の研究テーマが存在してました.場合によっては,(学生にわかりやすく説明するためだとは思いますが.)若干研究室間でテーマが似通っている研究室や,学科の中ではかなり異質な研究室など,見ているだけで楽しいテーマパークのような存在でした.自分は生物系だったので.植物.遺伝学.タンパク質工学,有機化学,神経科学,発生学とかここら辺の研究やってる研究室がありました.
そんな一方,世の中に目を向けると,学科で専攻している分野に関連した研究がされている研究室は無数に存在していおり,10個程度の研究室の数では確実に収まることはないですよね.このことを考えると,”12個の研究室って,めっちゃくちゃ世界狭くね?”って僕はなったんですよ.世の中,選択肢がある方が思考しやすいという人もいますが,僕の場合選択肢を与えられるとそれ以外も見たくなる性分の人間だったので,見れるなら自分の大学の学科にある研究室以外も見たい!となったんですよね.
と言っても,たかが学部生の分際で何が”研究か”なんて知る由もなく,まずは"どんな研究が行われているのか?”を知るところからスタートしました.時をさかのぼることB1(学部1年生のことです.今後めんどくさいので,学部生をBって書いてます. bachelorのBです)の後期の試験が終わった後.初めて,自分は”シンポジウム”と言う,研究者の人たちが自身の研究内容について説明する会に参加することにしました.それは,当時気になっていた”グリア細胞”に関するものでした.正直,何を言っているのか8割がた分からなかったですが,とにかく話を聞き終わった後に心に残ったのは,”めっちゃ面白い!”と言う感情でした.授業や教科書だと,ある程度話として固まった部分を知識として話されることが多いと思いますが,こういう実験をして新たな発見をした,まだこんなことは分からない,そして先生同士の研究に関する質疑を通しての議論など,新たな知識の生まれる場にいるような気がして楽しかったんですね.
これを機に,B1の春休みからB2が終わるまでの間,自分が気になるなと思ったシンポジウム,講演会,学会にとことん参加しまくりました.分子生物学会,生物工学会,神経科学会,がん学会とかだった気がします. 自分か気になっていた,脳神経系はもちろん,細胞生物学,免疫,がんといった自分の所属する学科に近いものから,生態,農学,植物,醸造,食品などといった少し離れたもの,数理モデリング,情報系,材料など理系ではあるが専攻外のもの,哲学や社会学といった専攻とは全く関係なものまで積極的に参加しました.それぞれの講演の中でも特に,面白いと思ったところ,自分だったらこういう事がしたいと思ったところ等々,メモをしまくって自分が”何が好きなのか”,並びに”研究とは何か”と言うものを探しまくったりしてました.ちなみに,学会は学部生だと参加費が無料だったりするところもあるんで,旅行のついでにでも行ってみるといいと思います.
また,他にも結構役に立つのが”若手の会”の類だと思います. 生命系で一番おっきいところだと,生化学若手の会かなと思います. ここには,生命科学系の研究をしている学部生や大学院生などがたくさん入っており,どんな研究をしてるのか直接先輩方から聞けるという非常に愉快な場になってます. また,最近だと研究者コミュニティのミツバチとかも,生命系にかかわらず文理問わずいろんな研究をしている学生や,これから研究を行いたい学生が在籍してワイワイやってるので,これから研究を知りたい方にとってはかなりいいと思います. (僕がB2の時はまだ無かった団体なので,こういう団体ができていくのは後進の育成に重要ですよね)
最終的に脳神経科学,数理モデリング,発生学(再生医療)といったキーワードが自分にとってマッチすることがなんとなくわかり,実際に講演を聞いて面白いなと思った先生方にメールを送り,ZOOM等でいろいろな先生方とコンタクトを取り,ポンコツB2のために貴重な時間を割いてもらい研究について説明していただきました.もちろん,自分の学科にいらっしゃる先生方とも授業終わりに話したり,研究室見学に行って色々お話を伺ったりしました.
こうした結果,一年ちょいかけて色んな先生方の話を聞くことによって,自分が何をしたいのか,何が好きなのかというものを若干ではあるが明確にすることができたと思います.このような中で,自分の興味,やりたいこととは自分が所属する学科にいらっしゃる先生方の研究とは違うな,こういう研究をしたいなという思いが増え,実際に外の環境を知るしかない!となっていきました.
2,てか,もっと早くから研究したくね
いろんな先生方と喋っていくうちに,”君は何がしたいの?”と聞かれるようになり,何がしたのかなあと悩むことが多くなりました.研究のフロンティアでいらっしゃる先生方とお話しさせていただき,研究というものがどのような物か,その一端を知ることができた(気がした)一方で,実際にどのようにして実験を進めていくのか,何を考えなければならないのか,実際に手を動かし,思考しないといけないのか知りたい!と思うようになりました.
また,自分がB3になってすぐのころ,コロナで大学の実習も不完全燃焼で完全に手を動かせる状況でなかったこともあり,もっと実験をやりたい!という思いが非常に高まっていました.また,贅沢な話ではありますが,大学ではなく,研究所で研究をしたいという気持ちが当時強くなっていました. というのも,当時オンライン説明会で遺伝研や基生研などのお話を伺い,そので研究されている学生と話すと,自分の在籍していた大学の先輩方とは比較にならないほど研究に情熱を注いでおり,ものすごく楽しそうに研究に関する話をされている姿を見て,研究所にいくしかない!と考えていました. そのような中で,様々な研究所で,自分が気になった研究をされている先生方にメールを書き,ZOOMでなく実際に研究室に見学しに行って,あわよくば実験を体験させていただけないか?と話かけまわってました.
都道府県問わず,全国の興味のある先生方に連絡をした結果,コロナ的な理由もありB3の6月に一番自分が興味ある先生と面談をしていただける機会を設けていただいた.そこで面談をすると,実際に研究所で働きながら実験をしていいという話になり,またとはないチャンスだなあと思いなら,その研究室で研究をスタートすることになりました.
初めは実験の補助や,適当な雑務が多かったが,そこからいろいろな研究テーマを教えてもらい,実際に自分のテーマの方向性が8月くらいには決まっていった.
いろいろな運が良かったという事もあり,B3から研究室に所属して,実験を行い始めることができました.
その後,どうしても基礎生物学研究所に行きたいと思った僕は,体験入学というプログラムを使って岡崎までいきました. これも本当にありがたいプログラムでした.
3,実録!恐怖の教授への直訴
ここまでは言ってしまえば,”勝手に研究所に入って研究してただけ”の話になるが,B4になるにあたって一つ大きな問題がありました.それが”卒研での外研問題”でした.本来,学生は学科に設置されていた研究室に所属して研究する必要があります(大学によりますが).ですが,自分は大学の研究室でなく,よその研究所の研究室に所属してすでに研究を始めている,,,さあどうしよう!となり,恐怖の教授への直訴へとなったのです.言い方こそ珍妙な言い回しですが,実際は外研を許してくれる研究室探しというわけです.
自学科の先輩や,他の大学の先輩から”勝手に外研するのは大変だよ”と言われていましたが,それを身に染みて理解しました.その理由は,普通外研では,その研究室の先生とコネクションなり,共同研究先の研究室に外研に行くというのが普通なんですね.僕のようにまったく面識のない赤の他人の研究室に外研を許すという事は殆どないんですよ.
実際に先生方に話をしてみると,自分の研究分野が脳神経であることから,それに近い研究室の先生にメールを行い話をしたり,学会まで行って直接先生と自分が行っている研究の話をしを色々したのですが,断られてしまいました.理由はもちろん,”共同研究先でない,研究室に外研は出せない”と言うものでした.他の研究室の先生にも相談したのですが,大体同じ理由で断られてしまいました.
悩みに悩み,B3の前期に取っていた授業で個人的に好きな授業をされていた先生に相談しました. そしたら意外なことに,”今,○○研究所で,こういう研究してるんですよ~”と言ったら二つ返事でOKをいただけた.その後,自分の所属していた研究室のボスからも連絡してもらい,外研を許可してもらえ,話としては丸く収まり無事に研究所で卒研をし,無事に卒業までできた.
後日,外研を許してくださった先生に理由を聞いたところ,”すでに研究を始めているから”と答えていただき,”もし,君が研究を開始しておらず,B4から外研に行きたいだけだったら許可はしていなかった”と教えていただいた. 結構ギリギリのことをしてたんだなあとも思いましたが,やってみないと分からんなあという思い出でした.
4,自分の人生に何を求めるん?
結局,”外研はいいぞ”と言う話ではありますが,就活をするような子からすれば業界研究→インターン,説明会→入社みたいなそんな感じだと思うし,それ以外にも何かを始めるときに準備をするというのはよくある話だと思います.(昔,会社をやってる時に,新卒の子が応募してきて,面接対応してる時にそんな気がしてました)
今回の話で,重要なのは"自分が何が好きなのかわからないのであれば,わからないなりに行動して,色々試行錯誤して見つけ出そう!"という部分だと思います.
自分の人生,どうやって楽しむかは人それぞれであるが,楽しませられるのは自分しかいないし,楽しめるかどうかも自分次第だと思います.
意識高いことは置いといて,”外研はほんとにいい”ので,ぜひみんな外研をしよう!