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中村至宏さんの個展『やがて虹になって消える』を観た(2018/2/3)

実際観に行った時には特に何も感じなかったのに、今になって妙に思い出す。

多分、この間ラジオで
「死体を見ても子どもはショックは受けないと思う。ショックを受けるのは大人で、死ぬ事は怖いんだと実感するまで、本当に死を身近に感じるまではそういう感覚は無いと思う。」
という話を聞いてからだと思う。

『やがて虹になって消える』で展示されていたのは絵画と写真が大体半々。

キラキラと輝く水面のような作品や、浴槽に佇む女の子、水の入った(?)大量のビニール袋に囲まれた女の子等。

今思えばこの展示は、ただただ純粋に美しいもの、一瞬の輝きを追った展示だったような気がする。
そしてそれは、私には見る事のできなくなってしまった感覚だったように思う。

幼い頃は、畦道で突然ぶつかる蚊柱も新鮮だったし、夕立前の遠雷の音も、大雪も楽しかった。
でもモスキートトーンが20代後半になると聴こえなくなっていくように、季節や自然現象に鮮烈な感動を覚える事も徐々に無くなっていった。
社会人になりフィルターをとおして見てしまうようになったからなのか、フィルターが取っ払われたからそうなっていくのかはよく分からないけれど、"恐怖"の対象が移り変わった事で世界の見え方は変わっていった気がする。

死ぬ事を知らなかった頃の、ただただ純粋に世界を美しく感じていた頃の世界だったから、私にはすぐに理解する事ができなかったんだろう。と、実際の展示の意図は知らないけれど、私の中ではそう決着づけてしまった。

会場:The Artcomplex Center of Tokyo
期間:2018年1月30日~2月4日
入場料:無料

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