身体と心を考える 聖地熊野の漢方薬屋4 睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群の話
男と女、睡眠にも性差
睡眠パターンや体内時計に個人差があるように、睡眠にも性差は存在します。その背景にある最も基本的なものは、
○性ホルモン
○その分泌パターンの性差
○それを管理する脳(性中枢)の違い
○神経伝達物質の分泌
…等、と言われています。
あの横綱も悩んでいた
私の知人に強烈ないびきをかく人物がいます。
ずいぶん昔、たまたま一緒の旅行で同室となり、その凄さというか騒音というか、他人迷惑なというか、とにかく廊下に出てもうるさく、別室で寝ていた知人(別の知人)は、ホテルの配管に異常がでたのかと思ったというくらいのひどさでした。今思うと彼はおそらく「睡眠時無呼吸症候群」だったと確信しています。
睡眠時に頻繁に呼吸が停止する睡眠時呼無呼吸症候群は、昼問の強烈な眠気のほかに、白覚症状はほとんどありません。しかし、睡眠中の酸素供給量が低下するなど、本人の健康にとって問題であるばかりでなく、車や電車の運転中などに眠気が襲うとなりますと、人命にかかわる大事故につながる危険性もあります。以前某横綱が、これに罹り成績が下降したために、相撲ファンの間でこの症候群が有名になりました。昨今メディアで報じられることが多い老人の交通事故、そのいくつかは睡眠時無呼吸症候群が関与し一瞬の居眠りがその背景にあるのではと疑っています。
女性は黄体ホルモンが眠りに関与
睡眠時無呼吸症候群は女性よりも男性に多く見られ、男女の比率は10対1くらいだそうで、この比率はどの国でも一定とされています。女性が睡眠時無呼吸症候群にかかりにくいのは、やはりホルモンの影響で、黄体ホルモン(プロゲステロン)という女性ホルモンが呼吸を促進させる作用を持ち、女性はこのホルモンに守られているためだそうです。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンは、それぞれ眠気の抑制と促進効果を持っています。女性は更年期に至るまで、卵胞期と黄体期が交互に訪れる月経周期を繰り返しますが、これに伴ってホルモン分泌量は変化、黄体ホルモンは排卵後から生理の始まる前までの時期に多く分泌されます。月経の前になると日中の眠気が強くなると訴える女性が多いのは黄体ホルモンの作用のせいです。
中高年齢層までは、女性のほうが質のよい眠りを得やすいのですが、高齢になるにしたがって、立場が逆転してしまうようです。この現象は多くの国の統計が示していますが、卵巣の老化で黄体ホルモンの分泌が減少するためと考えられています。
漢方では
眠れなくなった方には、漢方では様々な種類がそろっています。血流を改善、血液の質を高めて自律神経などをうまく調整するものであったり、ネムノキなどをもちいた植物性のもの、また中高年男性の加齢による体調変化(男性更年期、高血糖など)には、動物生薬製剤を用いたりします。女性の不眠には、他の体調(冷え、出産の有無、生理、舌診など)を伺い、トウキ、ブクリョウ、ショウキョウなどを用いた漢方をお出しします。