女子高校生のAED装着率の欺瞞

ツイッター上でとあるニュースが話題になっていた。

学校で心停止になった子どもにAEDが使われたかどうかを調べたところ、小学生と中学生では男女差がなかったのに対して、高校生では女子生徒に使われる割合が、男子生徒より低い傾向にあることが、京都大学などの研究グループの調査でわかりました。

その結果、小学生と中学生では、男女の間で有意な差はありませんでしたが、高校生では、男子生徒の83.2%にパッドが装着されたのに対して女子生徒は55.6%と、30ポイント近く低くなっていました。

AEDは心臓の動きを正常に戻す医療機器で、鎖骨の下などの素肌に直接パッドを貼る必要があり、研究チームでは女子高校生の場合、近くにいた人たちが素肌を出すことに一定の抵抗があったのではないかと分析しています。

このニュースへのツイッターの反応は「女性に配慮することを周知すれば良い」「配慮を求めるから装着率が減るのは当然」といった趣旨のものが多い。

少し考えてほしいのだが女性への使用に抵抗感があることでAEDの装着率が減るのだろうか。であれば、AEDが手元にあるにもかかわらず抵抗感により装着しなかったというケースが存在しなければならない。そんなことあり得るのか?

実際に装着されないケースは、AEDが無い、どこにあるかわからない、人の生死にかかわることで気が動転して冷静に対処できなかったなどが考えられる。

このニュースの正しい見方

このニュースページには動画が載っており、詳しいデータを見ることができる。その画像を以下に示す。

記事の文章には載っていないがサンプル数は男子101人、女子18人である。普通に考えれば女子のサンプル数が少なすぎるため単純に比較することはできないだろう。これを「女子高校生は3割もAEDの装着率が低い」などと主張するのは誠実ではない。このデータを見たときに考えるべきは「男子高校生は女子に比べて5倍も心停止になっている」ということだ。

しかしながら、女子高校生のAED装着率が低いということは事実かもしれない。男子高校生は女子に比べて5倍も心停止になっている。あなたが教師であれば部活動などにおいて男子グループと女子グループのどちらにAEDを配置するだろうか。普通は心停止のリスクが高い男子グループを優先するだろう。また、当事者となり得る確率が違うため、学生自身も救命措置に対する意識は男子と女子で違う可能性が高い。

おそらく社会人でもAED装着率は女性の方が低くなるだろう。労働災害などの事故が発生しやすい危険な職場で働いているのはほとんどが男性である。危険な職場である場合、企業はAEDを設置する動機が発生する。男性は危険な場所で働き、AEDの近くで仕事をするため装着率が高くなると予想できる。抵抗感などというものが原因ではないだろう。

メディアと大学の質の低下

まともに大学を出ていればサンプル数が18で結論を出すなどしないだろう。文章では隠していることからも故意にやっているとしか思えない。結論ありきでデータを加工したのだ。

抵抗感があったのではないかと分析しているが、装着されなかった8件を調べればわかる話だ。こんなものは統計でも何でもない。

男が女よりも死にやすいなんてのはありふれた話で話題にならない。現に女性の被害者意識をくすぐることでツイッター上で話題になった。話題になれば予算が出たり褒められたりするのだろうか。

国民の税金や受信料で安定的な立場にあるNHKと京大が話題重視で事実を捻じ曲げるのは許しがたい。

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