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月と糸杉

 萌え盛るユリノキ、声回る踏み込み、
 其の微睡みは一瞬で、
 鮮やかに分離して目覚める、
 罪の火と脱皮する蛇の如き木の先に。

 夜咲かす、海の拠り所流す夏草が、
 まっすぐに泥濘を一周して、
 逆様になって眠る頃、
 私達は一日の偽りを脱ぎ捨てる。

 理由無く在る事を許さない、
 言葉から解かれる、
 夢の海に浮かぶ透き通る月、酔いながら、

 限り無く思い出される向日葵のイマージュを、
 君なら如何に表現するだろう、
 互いに巻き付き合う月と糸杉よ。


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